ミャンマーは、仏教を中心とした文化や多様な民族背景を持つ国です。国民の約9割が仏教徒であり、慈悲深く、温和で勤勉な性格が特徴です。また、家族や目上の人を大切にする価値観が根付いており、日本と共通する面も多く見られます。
一方、日本人とは異なるミャンマー人特有の考え方もあり、職場で良好な関係を築くためには、ミャンマー人の文化や性格への理解が重要です。
本記事では、ミャンマー人の文化や性格の特徴、一緒に働くための注意点などを紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
面積 | 68万平方キロメートル(日本の約1.8倍) |
人口 | 5,114万人(2019年推計(ミャンマー入国管理・人口省発表)) |
首都 | ネーピードー |
民族 | ビルマ族(約70%)、ほか多くの少数民族 |
言語 | ミャンマー語(公用語)、シャン語、カレン語など |
宗教 | 仏教(約90%)、キリスト教、イスラム教等 |
ミャンマーは東南アジアのインドシナ半島西部に位置し、中国、ラオス、タイ、バングラデシュ、インドと国境を接する国です。首都は「ネーピードー」で、2006年に「ヤンゴン」から首都が移転しています。
2021年にクーデターがあり、国内での情勢が不安定なことや、国内の賃金水準の低さ(日本円にして3万円程度)から、国外で仕事を求めるミャンマー人が増えています。
ミャンマー人が日本で働きたい理由はさまざまですが、主に以下のような要因が挙げられます。
ミャンマーでは、ミャンマーの平均年収は約13万円で、月収に換算すると約1万円となります。
ただし、職種や地域によって賃金には差があり、例えばヤンゴンでは工科系大卒者や日本語学科卒業者で月収2万~7万円、文系大卒者で1.5万~3万円程度とされています。
日本の平均年収が約460万円(月収に直すと約38万円)であることを考えると、日本での給与は大幅に高いため、生活水準の向上や家族への仕送りが可能になります。
この大きな収入差が、ミャンマー人が日本での就労を希望する主な理由の一つと考えられます。
ミャンマーと比べると日本は治安が良く、安心して生活できます。また、公共交通機関、医療、教育などの制度、充実した社会インフラが整っており、快適な生活ができることも魅力に感じています。
日本は仏教国としての共通点もあり、文化的な親和性を感じる人もいて、親日家が多くいます。
母国語は、日本語の文法や発音も類似しているため、習得していく能力が高いのも特徴です。
ミャンマーの宗教、言語、食文化などの文化の特徴を見ていきましょう。
ミャンマーでは、国民の9割近くが仏教を信仰しています。2014 年の国勢調査によると、ミャンマーの宗教人口比率は、仏教徒が87.9%、キリスト教徒が6.2%、ムスリムが4.3%の割合です。
日本の仏教は主にお釈迦様の教えを広める「大乗仏教」ですが、ミャンマーの場合は、個人の悟りを目指し戒律を厳格に守ることを重んじる「上座部仏教」が主に信仰されています。
ミャンマー人には、仏教の輪廻転生の思想が根底にあり、現世で徳を積むことによって来世で報われる考え方から、困っている人を進んで助ける姿勢が見られます。
ミャンマーは多民族国家で、それぞれの民族が言語を持っています。民族としては、ビルマ族が約 70%を占め、ほかにも多くの少数民族が居住しています。
国内で共通の公用語は「ミャンマー語」が使われています。ミャンマー語は、日本語と文法で共通する部分も多く、ミャンマー人にとって日本語は比較的習得しやすいとされています。
ミャンマー料理は、中国やインドの影響もあって、中華系スパイス・インドスパイスを使用した濃い味付けの料理や、揚げ物などの脂っこい料理が多いのが特徴です。
日本と同様に米が主食で、ミャンマー人の米の消費量は年間一人当たり約 250kgです。日本人が60kg以下であるのと比較すると、4倍以上のお米を食べています。
米料理だけでなく、米粉から作られる米麺を使用した「米麺料理」もよく食べられています。「モヒンガー」は、ビーフンの麺を使用した代表的な米麺料理で、ナマズを煮込んだ出汁のスープが特徴の国民食です。
ほかの伝統的なミャンマー料理としては、発酵させたお茶の葉を野菜と一緒にサラダとして食べる「ラペットゥ」などもあります。家庭料理として日常的に食されるだけでなく、来客時のおもてなしにも人気の料理です。
ミャンマーの言語には、もともと挨拶の言葉が存在しなかったため、ミャンマーでは、「おはようございます」「こんにちは」などの挨拶をする習慣があまりありません。職場では、特に挨拶をせず出勤することが普通とされています。
友だち同士など親しい間柄であれば、挨拶の代わりに「ご飯食べた?」など話題を振るところから1日の会話をはじめます。
日本でミャンマー人を雇用する際には、同僚と円滑にコミュニケーションを取るために、受け入れ教育の一環として日本の挨拶の文化を伝えておくと良いでしょう。
ミャンマー人の性格や考え方の特徴としては、以下の点が挙げられます。
ミャンマー人は、仏教の徳を積む考え方が根付いていることもあり、勤勉で真面目に働く人が多い特徴があります。また、穏やかな性格の人が多いため、職場内での口論やトラブルが少なく、良好な人間関係を築くことに長けています。
日本人の性格の特徴と共通する部分も多いため、日本人が働く職場のなかでも相性良く溶け込みながら、良好な関係で業務に取り組むことが期待できます。
ミャンマー人は、仏教の教えに基づいた慈悲の精神を重んじる性格が特徴です。日常生活の中で、困っている人を助ける行為をごく当たり前のこととして自然に行っています。
ミャンマーは、「世界寄付指数」で4年連続(2014年~2017年)の世界1位を獲得するなど、日常的に寄付や人助けをする機会が多い国としても知られています。
2024年には、過去1ヶ月に寄付をした人の割合(Donated money)の項目で2位を獲得しています。
出典:Charities Aid Foundation「WORLD GIVING INDEX 2024」
ミャンマーは、イギリス植民地時代に日本がミャンマーの独立運動を支援した歴史もあり、日本に好意的な感情を持つ「親日国」であると言われています。
日本からのODA(政府開発援助)はミャンマーの経済発展に貢献しており、親日の感情を後押ししている理由のひとつです。また、日本のアニメや漫画の人気が高く、日本の文化に触れる機会があるのも親しみにつながっています。
ミャンマーでは、家族が生活の中心にあり、子どもが親を敬う心が強いとされています。進路や就職先を決める際に両親の意向が反映されることも珍しくありません。
また、多くのミャンマー人は、親だけでなく、上司や年長者など目上の人を敬う姿勢を持っています。こうした姿勢は、国民の大半が仏教徒であり、仏教の教えにもとづく習慣・考えが根付いていることが大きく影響していると考えられます。
ミャンマー人と働く際は、ミャンマー特有の考え方や文化的な背景への理解が大切です。
ミャンマー人と働くために知っておきたい注意点は、以下が挙げられます。
ミャンマーでは温和さや穏やかさが尊重されるため、家庭内でも親から強く叱られることは少なく、叱られることに慣れていません。特に人前で強く叱ると、大きなストレスを感じてしまう時もあります。
仕事上で注意すべきミスがあった場合も、感情的に叱ることは避けて、穏やかに改善すべき点を伝えましょう。
ミャンマーでは、規則やルールはあまり厳格に運用されず、日本人と比較すると安全への意識も薄い傾向があります。たとえば、日常生活で言えば、バイクでヘルメットを被らない時が多いなど、交通ルールなどへの意識が日本人ほど高くありません。
ミャンマー人を職場に迎え入れる際は、日本の安全衛生やルールの徹底など、十分な教育を行い、仕事への意識を共有することが重要です。
ミャンマーでは、女性が人前で大きな声で話すのは、育ちがよくないとされています。職場でも、ミャンマー人の女性に大声で発言させるのは控えるべきです。
また、貞操観念が強い女性が多く、ボディタッチなどは日本人と接する時以上に避けるべきであることも理解しておきましょう。
ミャンマーは国民の約9割が仏教徒で、仏教の思想の影響もあり、慈悲深い、目上の人や家族を大切にする、温和で勤勉な人が多いなどの傾向があります。また、歴史的な背景や文化的なつながりから、日本へ親しみの感情を持つミャンマー人が多いのも特徴です。
仕事上の注意点は、強く叱らないことや規則・ルールへの意識はしっかり共有すること、女性特有の文化を理解しておくことなどです。ぜひ文化・性格への理解を深めて、ミャンマー人を採用する準備を進めましょう。
以下の記事で外国人を雇用する際に、確認すべき点などを紹介しているので、あわせてご確認ください。
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