在留カードは、日本に在留するための資格を証明できる大切なカードです。
外国人には在留カードの常時携帯義務があります。警察官などから求められた場合は提示しなければなりません。
在留カードの紛失や盗難に気づいた場合は、定められた期間内に再発行を申請します。在留カードは本人確認の資料として使用できる公的な証明書であり、悪用を防ぐためにも早急な手続きが必要です。
外国人を雇用する企業の担当者として、再発行するまでの一連の流れは把握しておきたい情報です。
外国人に質問された際に速やかに回答できるように、本記事では在留カードの再発行の申請手続きを詳しく解説します。申請をスムーズに進めるための参考にしてください。
在留カードとは、日本に中長期間在留する外国人に対して交付されるカードを言います。上陸許可、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの審査を出入国在留管理庁が行い、適法に在留するための許可が下りた証明書として発行されます。
在留カードには、ICチップや透かし文字・ホログラムなど、偽変造防止のための策が施されています。ICチップの内部に記録されているのは、カード面に記載された情報の全部または一部です。
在留カードに記載される主な事項は以下のとおりです。
上記のほか、16歳以上の外国人の在留カードには、顔写真も表示されます。
券面の記載事項に変更があった場合は、変更が生じた日から14日以内に変更を届け出なければなりません。届け出は、住居地の管轄の地方出入国在留管理官署に対して行います。
なお、在留カードは不法滞在者には発行されません。外国人を雇い入れる事業者は、在留カードの適切な確認によって、本人の在留資格や、就労可能な業務の範囲を把握できます。
在留資格には複数の種類が存在します。外国人材を雇用する際には就労できる在留資格であるかどうか確認が必要です。在留期間や就労制限の内容にも注意しなければなりません。これらの基本的な情報は在留カードの記載内容でチェックできます。
在留カードは、中長期的に在留している16歳以上の外国人全員に常時携帯が義務付けられています。本人がパスポートを携帯しているかどうかは関係なく、常に携帯しておかなければならないとされています。
在留カードを紛失してしまった場合は速やかに再発行の手続きを行わなければなりません。再発行されたカードを受け取るまでは、身分を証明する書類としてパスポートを携帯しておくと良いでしょう。
在留カードは、入国審査官・入国警備官・警察官などから求められた場合はその場で提示しなければなりません。在留カードを携帯しておらず提示ができなった場合は入管法違反となり、20万円以下の罰金が科せられる場合があります。
なお、在留カードの提示の求めに応じなかった場合は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金です。
永住者や日本人の配偶者など、身分に基づく在留資格で日本に在留する外国人にも、在留カードの常時携帯が義務付けられています。ただし特別永住者に交付される特別永住者証明書の場合は、歴史的経緯による特別の配慮により対象外とされています。
オーバーステイ・密入国などの不法滞在は入管法に違反しますが、不法滞在者を雇用した事業主も、不法就労助長罪により処罰の対象となります。
違反者には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、または懲役・罰金の両方が科せられます。
外国人労働者を雇い入れる際は、在留カードの確認を必ず行うようにしてください。在留カードを所持しているかどうかだけでなく、在留期間や就労の範囲もチェックしましょう。事業者は、定められた範囲外の業務に外国人を従事させてはなりません。
雇用した外国人が不法滞在者であると知らなかった場合でも、在留カードの確認を怠るなど事業主の過失が認められる場合は処罰の対象となるため、注意してください。
「外国人労働者を採用したいけれど、不法就労者かどうか見極める方法がわからない」と悩んでいませんか?本記事では、在留カードの基礎知識や外国人を採用する際に確認すべき在留カードの項目などを解説します。
常時携帯が義務付けられている在留カードですが、場合によっては携帯していなくても良いケースもあります。
まず外国人本人が16歳未満の場合、在留カードは発行されますが、常時携帯の義務は免除されます。
また、弁護士や行政書士など法令で定められた代理人に手続きを依頼するため在留カードを一時的に預けた場合や、在留カードの受領を代理人に依頼する場合は、本人の携帯義務には違反しません。
在留カードを一時的に預けなければならない場合は、預けている事実を証明するため、預かり証を受領しておくと良いでしょう。
在留カードは、身分を公的に証明する大事なカードです。
金融機関の口座開設や回線申し込みなど、各種手続きの際に求められる本人確認資料として使用できるため、個人情報を悪用されると、なりすまし被害や詐欺などのトラブルに巻き込まれる可能性が考えられます。
在留カードの紛失や盗難が発覚したら、速やかに以下の2つの対応を行ってください。
まずは最寄りの警察署に遺失を届け出て、遺失届出証明書(遺失届受理証明書)の発行手続きを行います。遺失の届出自体は最寄りの交番でも手続きが可能ですが、証明書類は警察署で発行されます。届出の様式は、警察のウェブサイトでダウンロードできる場合があります。
盗難の場合は、盗難を届け出て盗難届出証明書(盗難届受理証明書)の発行手続きを行ってください。遺失・盗難の届出証明書は、在留カードの再発行を申請する際に必要です。
台風や地震などの災害による滅失の場合は、警察署ではなく市町村で発行される「り災証明書」を取得しましょう。
なお、紛失・盗難の届出を証明する書類は、警視庁のウェブサイトからオンラインによる請求ができます。また、委任状を作成して所定の手続きを行えば、代理人による申請手続きも可能です。
時間に余裕がなく警察署に行けない場合や、外国人本人が行う手続きにサポートが必要な場合は利用すると良いでしょう。
オンライン請求の流れは以下のとおりです。
証明書受け取りの当日は、身分を証明する資料の持参が必要です。必要な証明書が取得できたら、在留カード再発行の手続きを行います。手続きの概要は次項で解説します。
在留カードを紛失した際、再発行の手続きは住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で行います。手続き対象者は、紛失・盗難・滅失そのほかの事由により在留カードの所持を失った中長期在留者本人です。
申請期間は、紛失・盗難・滅失の事実を知った日(日本から出国している間に当該事実を知った場合は、その後最初に入国した日)から14日以内です。
申請期間中に必要な手続きを行わなければ1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられる場合があるため、必ず期限までに申請してください。
盗難や紛失を理由とする再発行であれば、費用はかかりません。必要な費用は写真を新しく撮影する場合の写真代ぐらいですが、弁護士や行政書士などの代理人に手続き代行を依頼する場合は、報酬として手数料が発生します。
再発行を申請すると、入管法第19条の12に該当しているかどうか審査され、問題なければ原則として即日交付されます。
受付時間は平日午前9時から12時と午後1時から4時の間です。手続き内容によっては曜日や時間が設定されている場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
手続きできる申請者・受領者は以下のとおりです。
(注1)申請人との関係を証明する資料(住民票等)を持参
(注2)「疾病」の場合、疎明資料として診断書等を持参
(注3)「依頼」による代理の場合、疎明資料として委任状を持参
出典:出入国在留管理庁「紛失等による在留カードの再交付申請」
紛失などによる在留カードの再発行に必要な書類は、以下のとおりです。
在留カードが即日で交付されず、後日改めて在留カードを受領する時は、次の書類の提出も必要です。
在留カード再交付申請書・在留カード漢字氏名表記申出書・委任状の様式は、出入国在留管理庁のウェブサイトでダウンロードできます。
16歳未満の場合は在留カードに表示されないため顔写真は不要です。また写真は、指定された規格を満たさないと判断された場合、撮り直しが必要になる可能性もあるため、適切な写真を用いましょう。
出典:出入国在留管理庁「紛失等による在留カードの再交付申請」
著しく毀損・汚損、またはIC記録が毀損した在留カードは、再発行が可能です。費用はかかりません。
手続きの概要は紛失の場合と同様ですが、所持を失ったことを証する資料は不要です。手続きの際は在留カードを持参してください。
なお、紛失・盗難・汚損や毀損など以外の個人的な理由で在留カードを交換したい場合は、手数料として1,600円がかかります。
出張や一時帰国などで海外にいる間に在留カードを紛失するケースも考えられます。
海外で紛失した場合は、その国の警察署で紛失届(または盗難届)を出し、届出をした証明書を取得します。
みなし再入国許可を得て出国から1年以内に日本に再度入国する場合、在留カードがなくても入国は可能です。入国後に所定の再発行手続きを行いましょう。
飛行機の搭乗手続きの際に日本での在留資格を証明する必要がある場合は、代理人を通じて住居地を管轄する地方出入国在留管理局で手続きを行い、再入国許可期限の証明を受けられます。
在留カードは、日本に在留するための資格を公的に証明する重要な書類です。紛失・盗難に気付いたら、速やかに警察に届け出ましょう。警察が発行する証明書類が取得できたら、地方出入国在留管理官署で在留カードの再発行手続きを行ってください。
財布と一緒に紛失するケースも多く、外国人従業員には日頃から十分に留意するように伝えると共に、企業側の担当者も不測の事態に備えて迅速に対処できるよう、適切な知識を学ぶことが重要です。
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