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特定技能外国人の健康診断は必要?時期や費用、必要書類や注意点を解説

特定技能外国人の雇入れの際には、健康診断の受診が必要です。在留資格の申請手続きで、診断結果が記入された健康診断個人票などを提出します。

雇入れる企業としては、健康診断の実施に向けて概要を把握し、受診をサポートすることが求められます。健康診断の基本知識を押さえて、準備を進めていきましょう。

本記事では、特定技能外国人の健康診断の内容、時期や費用、注意点などを紹介します。

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目次
特定技能外国人の雇入れの際には「健康診断」が必要 雇入れ時の健康診断の診断項目 特定技能外国人の雇入れ後も「定期健康診断」が必要 特定の業務では「特定業務従事者の健康診断」を受診する 特定の有害な業務では「特殊健康診断」を受診する 特定技能外国人の健康診断費用の相場 特定技能外国人の健康診断の実施場所 特定技能外国人の健康診断の必要書類 特定技能外国人の健康診断に関する注意点 健康診断の結果を確認する 健康診断の結果の期限に注意する 健康診断個人票は母国語など十分に理解できる言語で作成する 宗教や文化による習慣・タブーを理解しておく まとめ

特定技能外国人の雇入れの際には「健康診断」が必要

在留資格「特定技能」の申請手続きでは「健康診断個人票」「受診者の申告表」の提出が必要であり、書類の準備のためには、特定技能外国人に健康診断を受診させることが必要です。

特定技能外国人の雇入れの際の健康診断は、特定技能に係る活動を安定的かつ継続的に行うために、本人の健康状態が良好なことを確認するためのものです。

基本的に健康診断の費用は特定技能外国人を雇入れする企業が負担します。医療機関にて「健康診断個人票」に記載された検査項目について、健康診断を受診させます。

雇入れ時の健康診断の診断項目

雇入れ時の健康診断の診断項目は以下のとおりです。11の検査項目全ての受診が必要です。

検査項目 詳細及び留意事項等
既往歴及び業務歴の調査 既住歴(雇入れ時までにかかった疾病)と業務歴(雇入れ時までに従事した主要な業務経歴)を調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 就業する業務の身体特性を把握するための感覚器、呼吸器、消化器、神経系、皮膚および運動機能の検査
  • 労働者の性、年齢、既往歴、問視診などの所見などを総合的に勘案し、医師が項目を選定
身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 腹囲:立位、軽呼気時、臍レベルで測定を実施。脂肪蓄積が著明で、臍が下方に偏位している場合は、肋骨下縁と上前腸骨棘の中点の高さで測定。プライバシー確保の観点から、着衣のままの測定(健診会場での自己測定も可能)
聴力の検査:オージオメーターで、通常30dB(1000Hz・4000Hz)の純音で、一定の音圧の音が聞こえるかを検査
胸部エックス線検査 特になし
血圧の測定 特になし
貧血検査 血色素量および赤血球数の検査
肝機能検査 ①血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)
②血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)
③ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の検査
血中脂質検査 ①低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)の量の検査
②高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)の量の検査
③血清トリグリセライドの量の検査
血糖検査 空腹時血糖または随時血糖を検査(ヘモグロビンA1c検査を行った場合も、血糖検査を実施したものとする。また、ヘモグロビンA1c(NGSP値)を測定せずに随時血糖による血液検査を行う場合は、食直後(食事開始時から3.5時間未満)を除いて実施)
尿検査 尿中の糖および蛋白の有無の検査(医師が必要と認めた場合は、「血清クレアチニン検査」の追加が望まれる)
心電図検査 安静時の標準12誘導心電図を記録

出典:令和4年度厚生労働省委託 外国人労働者安全管理支援事業(外国人在留支援センター)「外国人労働者安全衛生管理の手引き」

特定技能外国人の雇入れ後も「定期健康診断」が必要

特定技能外国人の雇入れ後も、1年以内ごとに1回の頻度で常時使用する労働者に対しては「定期健康診断」を受診させることが必要です。

定期健康診断の検査項目は、基本的には上記雇い入れの際の健康診断と同じで次の通りです。ただし雇入れの際の健康診断にはない項目として、定期健康診断では「喀痰検査」が必要になることもあります。

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  • 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
  • 尿検査
  • 心電図検査

なお、下記の検査項目は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認める時は省略できます。省略できる検査項目と基準は次のとおりです。

省略できる検査項目 省略できる者(厚生労働大臣が定める基準)
身長の検査 二十歳以上の者
腹囲の検査 下記のいずれかに該当する者
  • 40歳未満の者(35歳の者を除く)
  • 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者
  • BMIが20未満である者
  • 自ら腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが22未満の者に限る)
胸部エックス線検査 胸部エックス線検査:40歳未満の者(20歳、25歳、30歳及び35歳の者を除く)で、下記に該当しない者
  • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令第12条第1項第1号に掲げる者
  • じん肺法第8条第1項第1号または第3号に掲げる者
喀痰検査 下記のいずれかに該当する者
  • 胸部エックス線検査で病変の発見されない者
  • 胸部エックス線検査で結核発病のおそれがないと診断された者
  • 胸部エックス線検査の省略基準に該当する者
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査 四十歳未満の者(三十五歳の者を除く。)

出典:令和4年度厚生労働省委託 外国人労働者安全管理支援事業(外国人在留支援センター)「外国人労働者安全衛生管理の手引き」

特定の業務では「特定業務従事者の健康診断」を受診する

以下の特定業務に従事する場合には、配置替えのタイミングと6ヶ月以内に1回の頻度で、特定業務従事者の健康診断(定期健康診断と同一の項目)の実施が必要です。

対象の特定業務としては、以下が挙げられます。

  • 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  • 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  • ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
  • 土石、獣毛等のじんあいまたは粉末を著しく飛散する場所における業務
  • 異常気圧下における業務
  • さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
  • 重量物の取扱い等重激な業務
  • ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  • 坑内における業務
  • 深夜業を含む業務※
  • 水銀、ひ素、黄りん、ふっ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
  • 鉛、水銀、クロム、ひ素、黄りん、ふっ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物(ホルムアルデヒドなど)のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務
  • 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
  • その他厚生労働大臣が定める業務(未制定)

※深夜業を含む業務については、午後10時から翌朝午前5時の時間帯が「深夜」として扱われます。深夜時間帯に一部でもかかる業務を、週1回または月4回以上行うと深夜業を含む業務に従事している扱いになります。

出典:令和4年度厚生労働省委託 外国人労働者安全管理支援事業(外国人在留支援センター)「外国人労働者安全衛生管理の手引き」

特定の有害な業務では「特殊健康診断」を受診する

一定の有害な業務に従事する場合には、特定技能外国人も日本人労働者と同様に、別途で特殊健康診断の受診が必要です。

特殊健康診断は、労働安全衛生法第66条第2・3項、じん肺法第3条に定められていた健康診断を含みます。該当する業務をする労働者に受診させることが事業者の義務です。

特殊健康診断の種類 特殊健康の対象となる業務
高気圧業務健康診断 高圧室内業務または潜水業務
電離放射線健康診断 エックス線、その他の電離放射線にさらされる業務
除染等電離放射線健康診断 除染等業務
鉛健康診断 鉛等を取り扱う業務
四アルキル鉛健康診断 四アルキル鉛の製造、混入、取扱いの業務
有機溶剤等健康診断 屋内作業場等(第3種有機溶剤は、タンク等の内部に限る)における有機溶剤業務
特定化学物質健康診断
  1. 安衛令第22条第1項第3号の業務(石綿等を取り扱い、または試験研究のため製造する業務を除く)
  2. 安衛令第22条第2項に掲げる物(石綿等を除く)を過去に製造し、または取り扱っていたことのある労働者で現に使用しているもの
石綿健康診断
  1. 石綿等の取扱い、または試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務
  2. 過去に石綿等を製造、または取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に従事させたことのある労働者で現に使用しているもの

なお、上記の特殊健康診断のうち、一定の特定化学物質業務や石綿業務などは、その業務に従事しなくなった後も、雇用をしている間は医師による特別の項目の健康診断を実施しなければなりません。

出典:令和4年度厚生労働省委託 外国人労働者安全管理支援事業(外国人在留支援センター)「外国人労働者安全衛生管理の手引き」

特定技能外国人の健康診断費用の相場

健康診断の費用の相場は1万円前後が目安で、費用は企業側が負担します。労働安全衛生法で「雇入れ時健康診断」「定期健康診断」「特定業務健康診断」「特殊健康診断」の実施が定められていて、その費用は事業者が負担すべきものと示されています。

なお、定期健康診断の受診に要した時間の賃金の扱いについては、厚生労働省では「労使協議して決めるべきもの」とした上で、労働者の健康が事業の円滑な運営に不可欠な条件である点から「要した時間の賃金を支払うのが望ましい」としています。

特定技能外国人の健康診断の実施場所

特定技能外国人の健康診断の実施場所を選ぶには、健康診断個人票に記載された健康診断項目を全て受けられるかどうかが重要となります。

日本国内の病院や検診クリニックであれば、多くの場所で規定の検査項目全てを受診できると考えられますが、実際に全ての検査項目に対応できるかは事前に確認が必要です。

なお、海外の病院で受診する場合、医療水準や設備などの条件によっては必要な検査項目が受診できない可能性があるので注意しましょう。こちらも事前に確認をしておくことが重要です。

特定技能外国人の健康診断の必要書類

特定技能外国人の健康診断の必要書類は以下の2点です。

  • 健康診断個人票
  • 受診者の申告書

参考様式は出入国在留管理庁ホームページからダウンロードできます。書式は一例であり変更も可能ですが、参考様式にある検査項目は全て受診が必要です。

健康診断個人票 受診者の申告書

出典:出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」

なお、健康診断個人票は特定技能外国人本人の母国語など十分に理解できる言語で作成し、その日本語訳もあわせて提出することが必要です。出入国在留管理庁ホームページでは、日本語での参考様式の他、英語および9か国語による様式がダウンロードできます。

受診者の申告書は、健康診断で通院歴、入院歴、手術歴、投薬歴を医師に申告したことを示す書類となるので、健康診断の後に記入します。

特定技能外国人の健康診断に関する注意点

ここからは、特定技能外国人の健康診断の注意点をいくつか紹介します。

  • 健康診断の結果を確認する
  • 健康診断の期限に注意する
  • 健康診断個人票は母国語で作成する
  • 宗教や文化による習慣・タブーを理解しておく

健康診断の結果を確認する

特定技能の在留資格申請における健康診断で悪い結果が出た場合、申請が認められない可能性も出てきます。

悪い結果が出た場合、受診した本人が自己申告しない可能性もあるため、特定技能外国人の受入れをサポートしている担当者が必ず結果を確認しましょう。再検査や精密検査が必要になる場合は、速やかに手配を進めます。

雇入れ後の定期健康診断も同様に、担当者による確認をおすすめします。定期健康診断で悪い結果が出た場合は勤務時間や業務内容の見直しなど、職場環境の改善も検討しましょう。

健康診断の結果の期限に注意する

雇入れ時の健康診断の結果には期限があるので注意しましょう。

特定技能外国人が海外にいる場合(在留資格認定証明書交付申請をする場合)は、申請日の3ヶ月前から申請日までの間の診断結果が必要です。

特定技能外国人がすでに日本にいる場合(在留資格変更許可申請をする場合)は、申請日の1年前から申請日までの間の診断結果が必要となります。

健康診断個人票は母国語など十分に理解できる言語で作成する

健康診断個人票は前述のとおり、母国語または特定技能外国人が十分に理解できる言語で作成し、日本語訳もあわせて提出することが必要です。英語および9か国語による参考様式が出入国在留管理庁ホームページでダウンロードできます。

なお、「医師の診断」「備考」の欄は、外国語で記載されている場合、日本語での訳文の併記が必要になるので、この点も認識しておきましょう。

宗教や文化による習慣・タブーを理解しておく

雇入れする外国人の宗教や文化による習慣・タブーを理解し、事前に配慮ができるように対応を行いましょう。

例えば、イスラム教では、女性は身内以外の男性に肌を見せない服装を着用しているため、健康診断でも可能であれば女性スタッフを手配するのが望ましいと言えます。

また、宗教や文化の背景から、西洋医学が受け入れられない場合もあり、西洋医学の治療法が必要な場合には、必要性や治療内容について丁寧な説明を心がけましょう。

まとめ

海外からの特定技能で外国人を受け入れる際には、特定技能の在留資格の交付を受けるための「在留資格交付申請」が必要であり、準備として健康診断の受診が必要です。

健康診断で「健康診断個人票」「受診者の申告表」を作成し、在留資格交付申請の必要書類一式とあわせて提出する必要があります。最新情報を確認し、特定技能の健康診断の内容や注意点を押さえて、不備なく手続きを進めましょう。

なお、Adeccoでは「特定技能外国人材紹介」として、特定技能に特化した外国人材の紹介を行っております。厳格な基準をクリアした、定着率が高く意欲的な外国人をご紹介しているので、在留外国人の雇用や定着でお悩みの方は、ぜひAdeccoにご相談ください。

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