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特定技能の職種追加を解説!2024年閣議決定の4分野を加えた全16分野の詳細

深刻度が増すばかりの日本の労働市場に対して、政府は在留資格のひとつである「特定技能」の対象職種を拡大し、さらなる外国人材の受け入れを推進しています。

2024年3月の閣議決定で特定技能に新たに業種が追加されたことにより、さらに幅広い分野で外国人材を活用できるようになり、人材不足の解消が期待されています。

本記事では、特定技能に追加される業種4分野の詳細と、新規分野を加えた全16分野の一覧、既存分野に新たに追加される業務などについて解説します。

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目次
特定技能の職種追加は4分野 職種追加①自動車運送業 職種追加②鉄道 職種追加③林業 職種追加④木材産業 特定技能制度の対象職種は全16分野に 既存分野への業務の追加について 工業製品製造業 造船・舶用工業 飲食料品製造業 特定技能外国人受け入れの流れ まとめ

特定技能の職種追加は4分野

特定技能の対象分野として「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加されました。

追加された新規分野は特定技能1号のみ受け入れ可能です。新規分野でも既存分野と同様に、取得分野に関わる技能水準の試験と日本語能力の試験が課されます。

特定技能の職種追加の4分野について、以下で詳しく見ていきましょう。

職種追加①自動車運送業

業務内容 バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者 (3業務区分)
技能試験 自動車運送業分野特定技能 1号評価試験
日本語試験 国際交流基金日本語基礎テスト
または日本語能力試験(バス/タクシー運転者はN3以上、トラック運転者はN4以上)
分野独自の要件 日本の運転免許の取得等

自動車運送業に該当する業務は、バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者の3つです。自動車運送業での受け入れ見込み数は、2024年から5年間で24,500人に設定されています。

自動車運送業では、日本語試験や技能試験のほかに、日本の運転免許の取得などが分野独自の要件となります。自動車運送業の各業務区分で求められる技能水準は以下のとおりです。

区分 技能の要件 求められる技術レベル
バス運送業 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)」の合格および「第二種運転免許」の取得 運行管理者等の指導・監督の下、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や乗客対応等ができるレベルであること
タクシー運送業 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)」の合格および「第二種運転免許」の取得 運行管理者等の指導・監督の下、一般乗用旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や乗客対応等ができるレベルであること
トラック運送業 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)」の合格および「第一種運転免許」の取得 運行管理者等の指導・監督の下、貨物自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や荷崩れを起こさない貨物の積付け等ができるレベルであること

出典:出入国在留管理庁「「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」

職種追加② 鉄道

業務内容 運輸係員(運転士、車掌、駅係員)、軌道整備、電気設備整備、車両製造、車両整備(5業務区分)
技能試験 鉄道分野特定技能1号評価試験
日本語試験 国際交流基金日本語基礎テスト
または日本語能力試験(運輸係員はN3以上、ほかはN4以上)

鉄道分野に該当する業務は、運輸係員(運転士、車掌、駅係員)、軌道整備、電気設備整備、車両製造、車両整備の5つです。鉄道分野での受け入れ見込み数は、2024年から5年間で3,800人に設定されています。

鉄道分野の各業務区分で求められる技能水準は以下のとおりです。

区分 技能の要件 求められる技術レベル
運輸係員 鉄道分野特定技能1号評価試験(運輸係員)の合格 指導者の指導・監督の下、鉄道における運輸係員が行う作業等を適切かつ安全にできるレベル
軌道整備 鉄道分野特定技能1号評価試験(軌道整備)の合格 指導者の指示・監督の下、鉄道における作業等に関する特異性を理解し、軌道整備に係る作業等を適切かつ安全にできるレベル
電気設備整備 鉄道分野特定技能1号評価試験(電気設備整備)の合格 指導者の指示・監督の下、鉄道における作業等に関する特異性を理解し、電気設備整備に係る作業等を適切かつ安全にできるレベル
車両製造 「鉄道分野特定技能1号評価試験(車両製造)」または「技能検定3級」の合格 指導者の指示・監督の下、鉄道における車両製造に係る作業を適切かつ安全にできるレベル
車両整備 「鉄道分野特定技能1号評価試験(車両整備)の合格 指導者の指示・監督の下、鉄道における車両整備に係る作業等を適切かつ安全にできるレベル

出典:出入国在留管理庁「「鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」

なお、車両製造では、鉄道分野特定技能1号評価試験(車両製造)の代わりに、技能検定3級(機械加工、仕上げ、電子機器組立て、電気機器組立て、塗装)を合格して要件を満たすこともできます。

職種追加③林業

業務内容 育林、素材生産、林業種苗育成等(1業務区分)
技能試験 林業技能測定試験
日本語試験 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)
分野独自の要件 協議会において協議が調った事項に関する措置を求める(安全対策等を想定)

林業も特定技能の新たな対象分野となりました。育林、素材生産、林業種苗育成などの業務が1業務区分として特定技能の対象です。

林業での受け入れ見込み数は、2024年から5年間で1,000人に設定されています。林業の分野で求められる技能水準は以下のとおりです。

要件 求められる技術レベル
林業技能測定試験の合格 ①育林、素材生産、安全衛生等について基本的な知識を有しており、また、各種作業について、安全の確保を図りつつ、一定時間内に正しい手順で確実にできるレベルであること
②日本語で指示された作業の内容等を聴き取り、理解できること

出典:出入国在留管理庁「「林業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」

職種追加④木材産業

業務内容 製材業、合板製造業などに係る木材の加工工程及びその附帯作業等(1業務区分)
技能試験 木材産業特定技能1号測定試験
日本語試験 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)
分野独自の要件 協議会において協議が調った事項に関する措置を求める(安全対策等を想定)

木材産業も特定技能の対象分野として新たに追加されました。製材業、合板製造業などに係る木材の加工工程及びその附帯作業等が1業務区分として対象になります。

木材産業での受け入れ見込み数は、2024年から5年間で5,000人に設定されています。木材産業の分野で求められる技能水準は以下のとおりです。

技能の要件 求められる技術レベル
木材産業特定技能1号測定試験の合格 木材加工、安全衛生等について基本的な知識を有しており、また、各種作業について、安全の確保を図りつつ、一定時間内に正しい手順で的確にできるレベルであること

出典:出入国在留管理庁「「木材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」

特定技能制度の対象職種は全16分野に

特定技能制度では、人材確保が急務とされる特定産業分野で外国人の就労が認められていて、新たに4分野が追加されたことで対象分野は全16分野となりました。対象の全16分野の一覧は以下のとおりです。

分野 業務の概要
既存分野 介護 身体介護や身体介護等に関係して助けが必要な仕事
ビルクリーニング 建築物内部の清掃
工業製品製造業 機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本
建設 土木、建築、ライフライン
造船・舶用工業 造船、舶用機械、舶用電気電子機器
自動車整備 自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する業務
航空 空港グランドハンドリング、航空機整備
宿泊 旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供業務
農業 耕種農業、畜産農業
漁業 漁業、養殖業
飲食料品製造業 飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
外食業 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
新規分野 自動車運送業 バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者
鉄道 運輸係員(運転士、車掌、駅係員)、軌道整備、電気設備整備、車両製造、車両整備
林業 育林、素材生産、林業種苗育成等
木材産業 製材業、合板製造業などに係る木材の加工工程及びその附帯作業等
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特定技能の受け入れ職種まとめ!16分野の一覧をわかりやすく解説

特定技能は在留資格の一種です。これまでで12分野14業種のみが対象でしたが、16分野での受け入れが可能になることが発表されました。特定技能の在留資格は技能実習を良好に修了するか所定の検定で基準以上の成績を収めれば取得できます。特定技能は1号と2号の分類があり在留期間や受け入れ分野が異なります。

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既存分野への業務の追加について

2024年3月の閣議決定で業務分野が追加されるとともに、既存分野へ対象業務がいくつか追加されています。

具体的には、工業製品製造業、造船・舶用工業、飲食料品製造業の3分野で、対象となる業務内容と業務区分が変更されています(飲食料品製造業の区分は変更なし)。

3つの分野での業務の追加の詳細について、以下で詳しく見ていきましょう。

工業製品製造業

以前は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」という名称で呼ばれていましたが、今回の見直しに伴い「工業製品製造業」に名称が変更されました。

工業製品製造業では、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本が新たな業務区分として追加されています。

既存の業務区分に鉄鋼、アルミサッシ、プラスチック製品、金属製品塗装、こん包関連の事業所を新たに含めることになります。

造船・舶用工業

業務区分が再編され、見直し前の6区分(溶接、塗装、鉄鋼、仕上げ、機械加工、電気機器組立て)から、造船区分、舶用機械区分、舶用電気電子機器区分の3区分に変更されます。

業務区分が再編されるとともに、作業範囲が拡大され、各区分の業務に追加されています。変更後の業務区分と業務内容は以下のとおりで、赤文字が追加された業務です。

業務区分 業務
造船区分 溶接、塗装、鉄工、とび、配管、船舶加工
舶用機械区分 溶接、塗装、鉄工、溶接、仕上げ、機械加工、配管、鋳造、金属プレス加工、強化プラスチック成形、機械保全、舶用機械加工
舶用電気電子機器区分 機械加工、電気機器組立て、金属プレス加工、電子機器組立て、プリント配線板製造、配管、機械保全、舶用電気電子機器加工

飲食料品製造業

業務区分は以前と変わらず、飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)の1区分となります。

特定技能外国人の受け入れが認められる事業所が追加され、食料品スーパーマーケット、総合スーパーマーケットの食料品部門の惣菜などの製造に従事することも可能となりました。

特定技能外国人受け入れの流れ

日本国内に在留している外国人を採用する場合、以下の流れで受け入れします。

  1. 外国人が試験に合格または技能実習2号を良好に修了
  2. 特定技能外国人と雇用契約を締結する
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定
  4. 出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請をする
  5. 特定技能1号へ在留資格を変更
  6. 就労開始

契約締結後には、受入れ機関などによる事前ガイダンスや健康診断の実施が必要となります。なお、在留資格変更許可申請は原則、外国人本人が手続きしますが、地方局長に申請等取次者として承認を受けた場合は、受け入れする法人などが取次ぎも可能です。

海外から来日する外国人を採用する場合、以下の流れで受け入れします。

  1. 外国人が試験に合格または技能実習2号を良好に修了
  2. 特定技能外国人と雇用契約を締結する
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定
  4. 出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請をする
  5. 在留資格認定証明書を受領する
  6. 在外公館に査証(ビザ)申請する
  7. 査証(ビザ)を受領する
  8. 入国して就労を開始

特定技能雇用契約を締結した後に各試験を受験することもできますが、不合格の場合には受け入れが認められないので注意してください。

まとめ

特定技能制度は、日本の深刻な人材不足を解消するために2019年4月に創設された就労可能な在留資格のひとつです。政府はこの度、2019年から2024年までの5年間運用されてきた同制度の見直しを図りました。

その結果、2024年3月の閣議決定にて、2024年から5年間の特定技能外国人の受け入れ人数の見直しと4つの分野を新たに対象として追加することが決定されています。

今回追加となった新分野は「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4つです。4つの新分野追加は、4月以降政府による省令改正などが順次行われています。

なお、Adeccoでは、特定技能の在留資格を持つ外国人材の紹介サービスを展開していて、厳格な基準をクリアした、定着率が高く意欲的な外国人をご紹介しております。外国人材の活用を検討している企業担当者の方は、ぜひAdeccoにご相談ください。

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