建設分野で特定技能1号の外国人を受け入れる際には、建設特定技能受入計画を作成して国土交通省の認定を受ける必要があります。
特定技能1号の外国人の受け入れを予定または検討しているものの、建設特定技能受入計画とはどのようなもので、どのような手順で認定申請をすれば良いのか、疑問に思っている方もいるかもしれません。
本記事では、建設特定技能受入計画とは何か、認定の申請方法、申請後の受け入れまでのフローなどを紹介します。
建設分野で特定技能1号の外国人を受け入れる際には、受入企業は「建設特定技能受入計画」を作成して、国土交通省の認定を受ける必要があります。
建設特定技能受入計画とは、国土交通省の認定基準を満たす内容で作成する1号特定技能外国人を受け入れるための計画です。どのように特定技能の人材を運用するのか、どれくらいの賃金を予定しているのかなどを計画として作成します。
国土交通省による建設特定技能受入計画の主な認定基準は、次のとおりです。
建設現場の人手不足に悩む方へ。特定技能「建設」で従事できる業務内容や特定技能1号・2号を取得する方法、外国人を受け入れる企業の要件などを詳しく解説します。
建設特定技能受入計画の認定申請は原則オンラインで行います。事前準備として提出書類を揃えてデータ化し、「外国人就労管理システム」から必要事項の入力と書類提出をして申請します。
建設特定技能受入計画の書類作成やシステム上での申請方法を以下で見ていきましょう。
特定技能技術受入計画の認定申請時には、以下の16点の書類が必要です。
書面をスキャンしてPDF、または写真撮影してJPG化し、データで提出します。複数の書類はひとつのPDFにせず、1書類1ファイルでそれぞれ何の(誰の)書類かわかるファイル名を付けます。
以下で注意点などを補足します。
外国人就労管理システムにログインし、オンラインで申請します。試験合格者の外国人を雇用する場合でも、試験免除者の外国人を雇用する場合でも、新たに特定技能雇用契約を結ぶ際には、必ず国土交通大臣の認定を受けなければなりません。
3ヶ月以内に発行されたものを全ページスキャンして添付します。新規申請では代わりに現在事項証明書の提出でも認められます。変更申請の場合は、変更前後の確認のため、履歴事項全部証明書の添付が必要です。
従事させる業務と、取得している許可業種の一致は求められません。なお、更新許可申請中で新たな許可証がまだ届かない場合は、旧許可証と更新許可申請書の写しを添付します。
法人の場合、以下の人数を常勤職員数としてそれぞれカウントします。なお、常勤職員数を1号特定技能外国人の総数が超えてはいけないので確認しておきましょう。
申請には建設キャリアアップシステムの事業者IDの取得が必要であるため、事前にシステムへの登録を済ませておく必要があります。登録には一定期間がかかるので、特定技能制度の利用が決まった際には早めに手続きしましょう。
加入している団体の会員証の写しの添付が必要です。団体によっては、申し込みから会員証発行まで数ヶ月~半年かかる可能性もあり、申請中は受理されないため、加入手続きは早めに進めましょう。
行政書士会から委任状の様式が展開されているので、その様式と同じ要件の記載があれば、任意様式の委任状もご使用いただけます。
建設特定技能受入計画の認定申請は行政手続きのため、行政書士または弁護士以外は代理申請ができないのでご注意ください。
求人は申請日から直近1年以内が対象で、フルタイムかつ建築・土木の作業員の募集であることが条件です。ハローワークに求人を出したことがない場合は、一度求人を出してその求人票を提出します。
記入する外国人の業務区分は、外国人就労管理システムで1号技能外国人リストに入力する各外国人の業務区分と一致している必要があります。
また、記載する外国人の従事予定職種・作業は、別途添付する「重要事項事前説明書」で記載することになる「業務内容」の項目と一致している必要があります。
常時雇用している人数が10名以上の場合は、必ず添付が必要です。それぞれ労働基準監督署の受付印が押印されている必要があり、全ページをスキャンして添付します。
9の書類で記載した日本人従事者について、過去1年分の賃金台帳を添付します。ほかの書類と同様にエクセルやワードではなく、PDFで添付します。
9の書類で記入した日本人従事者について、経歴書を添付します。経歴書に記載した経験年数と9の書類で記入した実務年数が一致していることが必要です。
特定技能雇用条件書、特定技能雇用契約書、雇用条件書の3点は内容が一致するように作成します。内容が異なる箇所があれば、補正の対象となります。
次の順番で添付します。全て有効期限内であることを確認してください。
記載例は、国土交通省ホームページでダウンロードして参照できます。雇用条件書に記載した内容と矛盾がないように記載します。
技能者IDを確認する書類として、建設キャリアアップシステムカードの写しを提出します。なお、申請時点で外国人が海外に居住している場合、在留カードが交付されてから技能者IDを取得するため、ID取得後はすみやかにオンラインで報告が必要です。
必要書類が揃ったら「外国人就労管理システム」にアクセスし、利用者仮登録と利用者本登録を行います。本登録まで完了後、建設特定技能受入計画の「新規申請」をします。
新規申請は、以下の大項目のなかにある複数の入力項目にひとつずつ入力を進めていくことになります。
代理申請で必要な「代理申請者に関する事項」以外は、全て入力必須の項目となります。上記の入力のなかで、16点のファイルを画面に沿って順次アップロードします。
なお、複数人の外国人を受け入れる時は、人数分を「1号技能特定外国人リスト」に追加することになり、それぞれの外国人について情報入力が必要です。
申請完了の画面では、申請番号、申請状態、申請日がそれぞれ表示され、「建設特定技能受入計画」の項目に表示されるステータスは「新規申請」から「計画確認」に変わります。
建設特定技能受入計画の認定申請後は、受け入れの前後で以下の手続きが必要となります。それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
特定技能外国人制度では、特定技能外国人が特定技能1号での活動を円滑に行うために、「1号特定技能外国人支援計画」の作成、計画に沿った支援が受入企業に義務付けられています。
1号特定技能外国人支援計画は、この後の「在留資格変更許可申請」または「在留資格認定証明書交付申請」の手続きで必要となります。
日本国内に在留している技能実習2号を良好に修了する見込みの外国人の在留資格を特定技能1号に変更するためには、地方出入国在留管理局で在留資格変更許可申請が必要です。申請は技能実習2号の在留期間満了日の2ヶ月前から可能です。
一方、試験合格者または技能実習2号を良好に修了して帰国した外国人の在留資格を特定技能1号に変更するためには、地方出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請が必要です。申請は入国予定年月日の3ヶ月前から可能です。
なお、それぞれの申請では、1号特定技能外国人支援計画が必要となります。
受け入れ後より1ヶ月以内に「1号特定技能外国人受入報告書」の提出が必要です。外国人就労管理システムからオンラインで提出を行います。
受入れ後講習は、建設分野の特定技能外国人が受け入れや保護の仕組みを理解して、安心して仕事ができるようにするためのものです。受け入れから原則6ヶ月以内に、特定技能外国人に受入れ後講習を受講させることが、受け入れ企業に義務付けられています。
受入れ後講習では、以前は15,400円/人の参加費が必要でしたが、2023年3月以降は特定技能外国人受入事業実施法人JACが全額負担することになり、無料となっています。
最期に、建設特定技能受入計画の認定申請の注意点を大きく2点、確認しておきましょう。
JACの年会費として、正会員は36万円、賛助会員は24万円の負担が必要です※1。また、年会費のほかに、1号特定技能外国人の受け入れ企業は以下の受入負担金の支払いが必要となります。
対象となる特定技能外国人の別 | 1人あたり受入負担金 |
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海外試験合格者(本機構が指定する海外教育訓練を受ける場合)※2 | 月額20,000円(年額24万円) |
海外試験合格者(本機構が指定する海外教育訓練を受けない場合)※2 | 月額15,000円(年額18万円) |
国内試験合格者※2 | 月額13,750円(年額16万5千円) |
試験免除者(技能実習2号修了者等)※2 | 月額12,500円(年額15万) |
※1 会費は団体として納めることになるので、受入れ企業が納める会費は、所属団体により異なることがあります。
※2 ここでいう試験は「建設分野特定技能1号評価試験」をさします。
建設特定技能受入計画の申請から認定までにかかる期間は、補正期間がなかった場合で1ヶ月半~2ヶ月ほどです。
ただし、申請状況や提出した計画の内容によっては、2ヶ月以上かかる場合もあります。また、地方によってはさらに数ヶ月かかることがあります。
書類に不備や不足がなければ、審査から認定証交付までの期間は短くなります。各書類に不備がないか提出前に入念に確認しましょう。
建設特定技能受入計画は、建設分野で特定技能1号の外国人を受け入れる際に必要になるものです。必要書類を準備の上、国土交通省の外国人就労管理システムから認定申請します。
認定後も1号特定技能外国人の受け入れのために、必要な手続きがいくつかあるので内容と流れを確認の上、ひとつずつ進めていきましょう。
なお、Adeccoは特定技能外国人の育成支援サービスを行っております。在留外国人の雇用や定着でお悩みの方は、ぜひAdeccoにご相談ください。