特定技能制度は、過疎化・少子高齢化・後継者不足などを背景に、人材難が特に深刻な状況である特定分野を支援する目的で国が創設しました。
特定技能の在留資格を持つ外国人は一定水準以上のスキルや知識を有し、即戦力として活躍が期待できる存在です。
受け入れ機関となり特定技能外国人を雇い入れるには、さまざまな書類を準備しなければなりません。また、受け入れ後にも必要な各種届出が存在します。
届出の際に準備する書類は、所定の様式を使用しなければならない場合もあり、注意が必要です。所定の様式でない場合、申請や届出内容の不備とみなされる可能性も考えられます。
本記事では、特定技能の諸手続きで用いる様式を解説するので参考にしてください。
特定技能とは、日本で就労できる在留資格の一種です。
1号と2号の分類があり、1号は在留期間が通算5年までです。受け入れ機関または登録支援機関による支援の対象で、受け入れる場合は支援計画を作成し、計画に沿った支援を実施しなければなりません。
2号は在留期間の更新の回数や期間に制限がなく、受け入れ機関による支援の対象外です。
特定技能の在留資格は一定水準以上の知識やスキルがなければ取得できない資格のため、特定技能外国人は即戦力として期待できる心強い存在です。
特定技能外国人は、所定の特定産業分野に該当する事業者でなければ受け入れができません。受け入れが可能な分野は以下のとおりです。
上記のうち、「自動車運送業」・「鉄道」・「林業」・「木材産業」は令和6年3月に対象の追加が発表された新しい分野です。既存分野同様に人手不足が深刻であるため、新たな特定技能制度の分野として多くの外国人の活躍が期待されています。
特定技能は在留資格の一種であり、在留資格の審査や管理は出入国在留管理庁が行います。
特定技能外国人の受け入れ・転職など雇用に関連する各種手続きや届出の多くは、出入国在留管理庁が提出先です。
特定技能に関する出入国在留管理庁が公表する様式の種類は以下の通りに大きく分類されています。
申請書を含む提出書類には、原則として押印は不要とされています。押印が不要な様式は出入国在留管理庁のウェブサイトで公表されているので、必要に応じて確認してください。なお、様式は法や制度などの改正のタイミングにあわせて変更になるケースも考えられます。以前に行った同じ種類の手続きであっても、現在の様式が同じとは限りません。事業所内で白紙の用紙やフォーマットを保存している場合は注意が必要です。
古い様式で提出した場合、内容によっては受付されず手続きがスムーズに進まない可能性もあるため、様式は必ず出入国在留管理庁のウェブサイトで確認し、最新のものを使用してください。
省令とは、行政が行う事務に関連して各省の大臣が定める命令をいいます。
省令様式としては、在留資格や在留期間に関する許可申請のほか、登録支援機関の登録に関する様式も公表されています。具体的な様式の例は以下のとおりです。
在留諸申請に関するものとしては、主に特定技能の在留資格を取得するための申請に必要な様式が公表されています。具体的な様式の例は以下のとおりです。
在留諸申請の手続きを行う際には、「分野参考様式」の提出も必要です。特定技能の受け入れ分野別に様式が異なるため注意してください。
なお、同一受け入れ機関で複数の外国人の申請を同時に行う場合、参考様式「立証資料の対象である申請人の名簿」に全員の情報をまとめて記載し、一通の書類で済ませる方法も認められています。
特定技能の受け入れ機関の委託を受け、特定技能1号に対して適切な支援を行う機関を登録支援機関といいます。
登録支援機関の登録(更新)に関するものとしては、以下の様式が公表されています。
定期または随時届出に関するものとして、以下の様式が公表されています。
特定技能外国人の受け入れ機関となった場合、特定技能外国人に関する適切な届出が義務付けられています。
年4回の特定技能外国人の受入れ・活動状況・支援実施状況を報告する定期届出のほか、届出が必要な事由が発生した際の随時届出があり、いずれも届出の期間やタイミングが定められています。
【定期届出の提出期間】
【随時届出の提出が必要なタイミング】
届出書作成の負担軽減を目的に、令和4年8月に様式の変更が実施されました。しかし、特定技能は対象分野の追加や変更など改正が進んでいます。手続きを行う際は今後も変更点がないか必ず確認してください。
出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関の皆様へ」
出入国在留管理庁が提供する様式のなかには、外国人本人が内容を理解し署名しなければならない書類があり、10カ国語に翻訳された様式が公開されています。
言語と様式の種類は以下のとおりです。
【言語】
英語・ベトナム語・タガログ語・インドネシア語・タイ語・ミャンマー語・カンボジア語・モンゴル語・ネパール語・中国語
【様式の種類】
特定技能の手続きに関連し、日本年金機構の書類が必要になる場合もあります。必要に応じて適切な様式で書類の交付を申請してください。
出典:日本年金機構「特定技能にかかる社会保険関係書類の交付に関する申請書一覧」
特定技能に関連する手続きを行う際の注意点として以下の3点が挙げられます。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
特定技能に関する諸手続きのなかには、必要な事項が記載されていれば必ずしも参考様式を使用しなくても良いとされている場合も存在します。しかし、届け出内容の漏れを防止する観点から、できるだけ参考様式を用いて申請しましょう。
また、参考様式を使用する場合でもチェックは入念に行ってください。たとえば在留資格変更許可申請の場合、申請内容に不備があれば許可が下りず就労が開始できません。
場合によっては外国人が帰国しなければならないケースも考えられるため、書類はミスのないよう準備しましょう。
申請後に入管の許可が必要な手続きについては、申請して即日完了にはなりません。
例として、令和6年1月~3月許可分の特定技能1号の在留審査にかかった日数の平均は、在留資格認定証明書交付申請で64.2日、在留資格変更許可申請で60.7日、在留期間更新許可申請で40.9日でした。
特にすでに日本に在留している外国人については、外国人本人の在留期間との兼ね合いも考えながら、必要な手続きは余裕をもって行いましょう。
特定技能1号の受け入れ機関は、外国人本人に必要な支援を行わなければならないとされています。ただし、支援計画の実施は、一部または全部を登録支援機関と呼ばれる外部の機関に委託が可能です。
支援業務の全部を登録支援機関に委託した場合、受け入れ機関は必要な基準を満たしたと見なされます。
登録支援機関には、特定技能1号の支援の実施と、出入国在留管理庁への必要な届出が義務付けられています。
特定技能の支援は必要書類が多く、手続きも複雑です。受け入れが可能な分野は慢性的な人手不足に陥っている場合が多いため、支援計画の業務委託を検討してみるのも良いでしょう。
特定技能の受け入れ機関は、さまざまな書類を準備しなければなりません。受け入れ後も届出義務の遂行が必要です。
諸手続きは最新の参考様式を使用し、ミスのない書類を準備しましょう。
特定技能1号の支援業務は一部または全部を登録支援機関に委託可能です。
アデコでは特定技能外国人紹介サービスを行っています。受け入れ後の外国人支援も可能ですので、ぜひご検討ください。