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特定技能自動車運送業(ドライバー)の追加が決定!外国人受け入れの注意点とは

物流業界が人材不足の危機に陥っています。

新型コロナウィルス感染症が5類に移行され、日本国内の消費活動は回復の兆しを見せはじめました。しかし、残業規制で輸送力が低下する2024年問題や業界全体の高齢化を背景に、ドライバーの数が不足しています。

物流業界を維持していくためにはドライバーの確保が急務であるとして、政府は在留資格「特定技能」の受け入れ分野に自動車運送業を含む4分野の追加を発表しました。

本記事では、特定技能制度の概要や自動車運送業に関する情報を解説するので参考にしてください。

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目次
ドライバー人材の不足の実態 ドライバー不足の加速が懸念される「2024年問題」 ドライバーに必要な運転免許 特定技能とは 特定技能制度の概要 特定技能外国人の受け入れが可能な分野 特定技能1号と2号の違い 特定技能以外で外国人ドライバーを受け入れる方法 特定技能自動車運送業(ドライバー)の在留資格を取得する方法 技能検定および日本語能力の検定に合格する 技能実習修了からの移行 特定技能を取得するため満たすべき外国人本人の基準 特定技能自動車運送業(ドライバー)を受け入れるメリット 特定技能自動車運送業(ドライバー)を受け入れる際の注意点 特定技能受け入れ機関の基準 特定技能受け入れ機関の義務 まとめ

ドライバー人材の不足の実態

厚生労働省の調査によると、自動車運転従事者の有効求人倍率は令和5年12月時点で2.79倍と、全体平均1.23倍を上回る結果が出ました。

新型コロナウィルス感染症に関する各種規制も解除され、多くの旅行客が観光地に戻りつつあるなか、タクシードライバーの不足が問題となっています。

また、インターネットショッピングやオークションサイト・フリマサイトなどが広く利用され物流のニーズも高まっていますが、トラックのドライバーも同様に不足しています。

ドライバーの不足を理由に全国でバスの路線廃止や減便も増加傾向にあり、人手不足は多くの地域で早急に是正するべき深刻な問題です。

さらに、ドライバーの高齢化も物流業界の懸念材料のひとつです。

運転免許統計によれば、10~20代の運転免許保有者数は平成14年で約1,692万人であったのに対し、令和4年では1082万人でした。若者が運転免許を取得する人数は大幅に減少している実態がわかります。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について」
出典:警察庁交通局「運転免許統計計(平成14年版)」
出典:警察庁交通局「運転免許統計(令和4年版)」

ドライバー不足の加速が懸念される「2024年問題」

働き方改革に関連し、ドライバーの時間外労働時間が制限される法改正がなされました。拘束時間の上限設定を理由に労働力が低下する「2024年問題」がニュースでも話題に上っています。

ドライバーの不足や高齢化を懸念する業界団体(全日本トラック協会、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会)が、在留資格「特定技能」の受け入れ分野にドライバーを追加するよう国に求めた結果、政府は要望を受け、「自動車運送業」を新しく特定技能の受け入れ分野に追加しました。

ドライバーに必要な運転免許

ハイヤー・タクシー・バスのドライバーになるには、乗客を乗せて運転できる第二種の運転免許が必要です。二種免許試験は20ヶ国語の言語で受けられるようになる見込みで、国も外国人材の受け入れに積極的である旨がわかります。

また、大型のバス・トラックを運転する場合は、大型免許が必要です。

二種・大型免許は、いずれも運転歴が3年以上なければ取得できません。

特定技能とは

本項では特定技能制度を詳しく解説します。

特定技能制度の概要

日本で就労するには、就労が可能な在留資格が必要です。在留資格は複数の種類があり、特定技能はそのうちの一種です。

特定技能制度は、人材の確保が特に困難な状況にある特定産業分野で、高度な知識やスキルをもつ外国人材の受け入れを促進するために国によって創設されました。受け入れ側にとっては、即戦力の人材を雇用できる点がメリットです。

特定技能外国人の受け入れが可能な分野

特定技能制度で受け入れられる分野は以下のとおりです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

上記分野のうち自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野は、新しく追加されることが政府から発表されました。

特定技能1号と2号の違い

特定技能の在留資格は、1号と2号に分類されます。

特定技能1号は、技能および日本語の検定に合格し取得できます。他分野では技能実習を良好に修了し取得する方法も存在しますが、現行の技能実習制度には自動車運送業は含まれません。

1号の在留期間は通算で5年までです。家族の帯同は許可されていません。

また、特定技能1号の受け入れ機関は、適切な支援計画を作成し、計画に基づいたサポートを行わなければならないとされています。

特定技能2号は、1号より高い技術力が必要な検定や実務経験により取得できます。2号は在留期間が無期限となり、要件を満たせば配偶者・子の帯同が許可されます。1号と異なり、2号は受け入れ機関による支援の対象外です。

新しく追加された自動車運送業では、1号のみ受け入れ可能とされています。ただし、元々1号のみだった他分野で2号取得が可能になった例もあるため、政府から発信される最新の情報に注意しておきましょう。

特定技能以外で外国人ドライバーを受け入れる方法

外国人ドライバーを雇用したい場合、特定技能外国人を受け入れる以外の方法も考えられます。

永住者・日本人の配偶者・永住者の配偶者など、身分による在留資格を有する外国人は就労制限がなく、日本人と同じように働けます。

また、タクシードライバーは、幅広い業務に従事できる「特定活動告示46号」の在留資格でも就労可能です。ただし、学歴や日本語能力などの要件を満たさない場合は特定活動の資格を取得できません。誰でもなれる訳ではないため注意しましょう。

特定技能自動車運送業(ドライバー)の在留資格を取得する方法

特定技能制度では、在留資格を取得するための方法として以下の2パターンが挙げられます。

  • 技能検定および日本語能力の検定に合格する
  • 技能実習2号修了からの移行(現状は自動車運送業は技能実習制度が存在しない)

それぞれの取得方法を詳しくみていきましょう。

技能検定および日本語能力の検定に合格する

分野ごとに定められた技能検定および日本語能力検定の両方に合格すると、特定技能1号の在留資格を取得できます。

技能評価試験では、一定の基準以上の点数の獲得が必要です。日本および一部の海外で受験でき、受験できる国や試験の内容は各分野で異なります。試験内容は知識や判断力を問う学科試験のほか、実技試験が含まれる分野も存在します。

自動車運送業の分野では、次の技能試験と運転免許の要件が設けられています。

  • 特定技能1号評価試験(トラック)および第一種運転免許
  • 特定技能1号評価試験(タクシー)および第二種運転免許
  • 特定技能1号評価試験(バス)および第二種運転免許

トラックドライバーの場合、日本語能力の要件はほかの分野同様JFT-BasicでA2レベル、またはJLPTでN4レベル以上の合格が必要です。いずれも簡単な日常会話ができるレベルが求められます。

バス・タクシーのドライバーは、乗客を乗せるためより安全管理が必要である特性上、トラックや他の分野より高い日本語能力が求められ、JLPTでN3レベル以上の合格が必要です。

技能実習修了からの移行

特定技能に移行する手段のひとつとして技能実習の良好修了が挙げられますが、自動車運送業分野では技能実習制度の設定がありません。

なお技能実習とは、外国人が日本で得た知識や技術を自国に持ち帰って活用するための制度で、発展途上地域への技術移転による国際貢献を目的に創設されました。

現行の技能実習制度は、転職が規制されていることで外国人労働者の立場が弱くなりやすく、人権侵害が発生していると問題視されており、政府は技能実習制度を廃止し、「育成就労制度」の新設を発表しました。新しい制度では転職制限が緩和され、特定技能への移行もしやすくなります。

特定技能を取得するため満たすべき外国人本人の基準

特定技能の在留資格を取得する場合、外国人本人が満たすべき基準は以下のとおりです。

  • 18歳以上である
  • 健康状態が良好である
  • 退去強制の円滑な執行に協力する国が発行した有効なパスポートを所持している
  • 保証金を徴収されていない
  • 外国の機関に費用を支払っている場合は、内容に合意している
  • 送り出し国で遵守すべき手続が定められている場合、手続を経ている
  • 食費・居住費など外国人が定期的に負担する費用の内容に合意している。また該当の費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されている
  • 分野特有の基準に適合している(※分野所管省庁の定める告示で規定)
  • 特定技能1号の場合、特定技能1号での在留期間が通算5年に達していない

技能実習を修了済または検定に合格済の場合でも、要件を満たさない場合は特定技能の資格を取得できません。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受け入れる際のポイント」

特定技能自動車運送業(ドライバー)を受け入れるメリット

特定技能外国人は、資格の取得要件として一定水準以上の知識やスキルが必要です。受け入れ機関は採用前に人材のレベルを把握でき、即戦力としての活躍が期待できます。

特定技能は、海外にいる人材を呼び寄せるだけでなく、日本に在留している外国人が在留資格を変更できる場合もあるため、取得が見込まれる人材がいれば移行を促してみるのも良いでしょう。

特定技能自動車運送業(ドライバー)を受け入れる際の注意点

特定技能外国人の受け入れ機関が注意すべき2点のポイントを解説します。

  • 特定技能受け入れ機関の基準
  • 特定技能受け入れ機関の義務

特定技能受け入れ機関の基準

特定技能外国人の受け入れ機関が満たすべき基準は以下のとおりです。

  1. 外国人と締結する雇用契約が適切である(記載すべき事項が揃っており、賃金水準は日本人と同等以上)
  2. 受け入れ機関自体が適切である(法令を遵守している・欠格事由に該当しないなど)
  3. 外国人を支援する体制がある
  4. 外国人を支援する計画が適切である(受け入れ機関は、1号特定技能外国人を支援する計画を作成し、計画に基づいた支援の実施が必要)

また、自動車運送業分野で特に課される条件として以下の内容が発表されました。

ア 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
イ 特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
ウ 特定技能所属機関は、国土交通省またはその委託を受けた者が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと。
エ 特定技能所属機関は、道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)第2条第8項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営する者であること。
オ 特定技能所属機関は、一般財団法人日本海事協会(明治32年11月15日に帝国海事協会という名称で設置された法人をいう。)が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者または全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第43条に規定する全国貨物自動車運送適正化事業実施機関をいう。)が認定する安全性優良事業所を有する者であること。
カ タクシー運送業及びバス運送業における特定技能所属機関は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。
キ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

出典:出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」
出典:法務省「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

特定技能受け入れ機関の義務

特定技能外国人の受け入れ機関には一般的に以下の義務が課されます。

  • 外国人と締結した雇用契約を確実に履行する
  • 外国人への支援を適切に実施する
  • 出入国在留管理庁およびハローワークへの各種届出
  • 報酬は預貯金口座への振込に限定する

まとめ

物流業界はドライバーの高齢化や2024年問題を背景に人手不足が深刻化しています。人材確保が急務であるとして、特定技能の分野に「自動車運送業」が追加されました。

バス・タクシー・ハイヤーで乗客を乗せるには第二種免許、大型の自動車を運転するには大型免許が必要で、いずれも3年以上の運転歴がなければ取得できません。

身分による在留資格(永住者・日本人の配偶者・永住者の配偶者など)の外国人は就労制限がなく、在留資格「特定活動告示46号」はタクシードライバーでの就労も認められます。

Adeccoでは、特定技能外国人の紹介サービスを行っています。特に自動車運送業は特定技能の受け入れ対象に新しく追加される分野であり、専門的なサポートを必要とする事業者様も多いのではないでしょうか。

特定技能外国人の受け入れに興味のある方はぜひご相談ください。

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