日本で働くフィリピン人は2023年末の時点で20万人を超えており、日本国内でも幅広い業種でフィリピンからの人材が活躍しています。
フィリピン人を採用して職場に受け入れる際には、フィリピン人の仕事への考え方や性格的な特徴を理解しておくと、適切なコミュニケーションを取りやすくなります。
本記事では、フィリピン人の仕事観や日本で働く理由、性格の特徴などを紹介します。記事の後半では、MWO申請を含むフィリピン人を雇用する際の手続きの流れも紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
面積 | 298,170平方キロメートル(日本の約8割)。7,641の島々がある。 |
人口 | 1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査) |
首都 | マニラ(首都圏人口約1,348万人)(2020年フィリピン国勢調査) |
民族 | マレー系が主体。ほかに中国系、スペイン系及び少数民族がいる。 |
言語 | 国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語および英語。180以上の言語がある。 |
宗教 | ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック、そのほかのキリスト教が10%。 イスラム教は5%(ミンダナオではイスラム教徒が人口の2割以上)。 |
平均寿命 | 男性67.4歳、女性73.6歳(2019年世界保健機関) |
識字率 | 96.3%(2019年国連教育科学文化機関) |
フィリピンは、300年以上のスペインによる統治や、その後のアメリカによる統治、1942年からの日本の軍政を経て、1946年に独立を果たしました。
スペインの統治の時代にキリスト教が広く普及し、現在もASEAN唯一のキリスト教国です。国民の83%がカトリックで、ほかのキリスト教が10%を占めています。
国土は日本の8割ほどの面積があり、1億903万5,343人が暮らしています。言語は180以上あり、公用語はフィリピノ語と英語です。
フィリピン人が日本で仕事する理由としては、高い賃金や治安の良さが挙げられます。
国際労働機関(ILO)によると、フィリピンの平均年収は約60万円(約23万ペソ)です※1。またフィリピン統計局によると、2021年時点でのフィリピンの貧困率は18.1%です※1。
日本の平均年収は、国税庁によると2023年で約460万円です※2。フィリピン国内に比べて日本の賃金水準が高いことが、フィリピン人が日本で働く大きな理由のひとつです。
※1 参考:公益財団法人 国際労働財団「2023年度 フィリピンの労働事情(フィリピン・マレーシアチーム)」
※2 出典:国税庁「民間給与実態統計調査(令和5年分)」
治安の良さが理由で、日本で働くことを選ぶフィリピン人も数多くいます。
2022年のフィリピン全土の犯罪発生件数総計は約38万件※であるのに対し、世界的に見ても犯罪件数の少ない日本は、働きやすい環境であると考えられています。
フィリピン人の性格の特徴・仕事観には、以下の特徴があります。
明るく親しみやすく、礼儀正しさや献身的な姿勢を持つことから、日本の職場にも自然に馴染みやすいと考えられます。以下、フィリピン人の性格の特徴・仕事観をご紹介します。
フィリピン人は、初対面でも明るく親しみやすい人が多いと言われています。
フィリピンでは家族の絆が強く、家族同士でのお互いを励まし合う文化が根付いているため、ポジティブな雰囲気が自然と生まれやすいことが理由として考えられます。
また、フィリピンの温暖な気候は、開放的でリラックスした雰囲気で、親しみやすい性格を形作る要因となっているようです。
フィリピン人は、家族をとても大切にしていて、仕事よりも家庭内での用事を優先するシーンも少なくありません。また、フィリピン人が残業をほとんどしないことも、家族と過ごす時間を大事にしていることが大きな理由のひとつです。
収入の水準が高い日本で働くのも、家族への仕送りが目的であることも多く、家族を支える意識で働くフィリピン人も多いです。
フィリピン人は相手へのリスペクトが強く、礼儀正しく人と接する傾向があります。特に上司などの目上の人には敬意を持ってコミュニケーションを図ります。
礼儀正しさやホスピタリティのある性格から、接客業やサービス業でも数多くのフィリピン人が活躍しています。
多くのフィリピン人は仕事に献身的に取り組み、仕事に誇りを持って取り組む姿勢を持っています。家族を支える責任感も、仕事への積極性やモチベーションの高さの理由のひとつです。
仕事へのロイヤリティが高いフィリピン人を職場に受け入れることで、仕事に積極的に取り組む雰囲気の高まりが期待できます。
フィリピン人と仕事する上での、コミュニケーションや採用の注意点も確認しましょう。
フィリピンには褒めて伸ばす文化があり、フィリピン人は人前で叱られることに慣れていません。人前で叱られた場合、プライドが傷つけられ、屈辱を感じてしまうことがあります。
フィリピン人に注意をする場合は、人前ではなく1対1で状況をつくって優しく対話することを心がけましょう。
フィリピンは、フィリピノ語のほか英語も公用語のため、英語力が高い人の割合が多いですが、全てのフィリピン人が英語を流暢に話せるわけではありません。
フィリピン人のなかでも英語の能力には差があり、個々の能力を見極めることが重要です。英語の能力を重視する場合は、採用面接の段階で英語のレベルを確認しておきましょう。
フィリピン人の雇用の際には、手続きに関わる機関としてDMW・MWOの2つを知っておくことが必要です。それぞれの機関の概要を以下で紹介します。
DMWは、海外で働くフィリピン人労働者の保護・医療サービスの提供、海外労働に向けた手続きの窓口などの役割を持つ政府機関です。首都のマニラに本部が置かれています。
DMWはDepartment of Migrant Workersの略称で、日本語では移住労働者省と呼ばれます。2022年にPOEA(フィリピン海外雇用庁)などの7つの機関が統合され、DMWが新設されました。
フィリピン人を雇用する手続きでは、受入機関の認定を行っています。
MWOは、各国にあるDMWの出先機関で、日本には東京(在東京フィリピン共和国大使館)と大阪(在大阪フィリピン共和国総領事館の移住労働者事務所)に拠点があります。
かつてはPOLOと呼ばれていましたが、DMWの創設に伴い、名称が変更されました。
MWOはMigrant Workers Officeの略称で、日本語では移住労働者事務所と呼ばれます。
MWOは各国でのフィリピン人の権利や労働条件を守ることを目的としており、フィリピン人を雇用する際には、受入機関はMWOに申請してDMWへの登録を行います。
フィリピン人を雇用する際の流れは、以下のとおりです。
受入機関は、フィリピン政府から認定を受けた現地の送出機関を通じて人材の紹介を受け、送出機関と契約を結ぶことになります。
その後、DMWへの登録のために、MWOへ必要書類を提出し、MWOで面接を受けます。MWOから適正であると認められると、認証印が押印された提出書類一式と推薦書が送付されます。
受入機関は、送出機関を通じて書類一式をDMWに提出して、DMWへの登録を受けます。
DMWの登録が完了すると、ようやく採用活動を進めることができます。
採用が決まり、フィリピン人本人と雇用契約を締結し、出入国在留管理庁に対して在留資格認定証明書の交付申請をして、認定証明書の交付を受けます。
日本での在留手続きが完了すると、海外雇用許可証(Overseas Employment Certificate, OEC)の発行申請が可能となります。
OECは、MWOの承認とDMWへの登録を経て初めて取得できる許可証であり、これがなければフィリピン人労働者は出国することができません。
また、OEC発行前に、認定証明書は送出機関を通じてフィリピン人本人に送付され、送出機関のサポートのもと、在フィリピン日本国大使館に対して査証発給申請が行われます。 その後、送出機関の指導のもと、フィリピン国内で出国前オリエンテーションの受講、健康診断の受診、海外雇用許可証(OEC)の発行申請を行い、ようやく日本への入国が可能となります。
なお、日本に在留する方を受け入れる場合は、在留資格認定証明書の交付申請の代わりに、在留資格変更許可申請を行い、許可を受ければ手続きは完了です。
フィリピン人は、明るく親しみやすく、献身的な姿勢があり、前向きに仕事に取り組む人が多いことが特徴です。また、英語力の高さもフィリピン人を採用するメリットです。
フィリピン人の雇用にあたっては、MWOへの申請を含む手続きが必要です。手続きの流れを把握して、必要な手順をひとつずつ進めていきましょう。
以下の記事で外国人を雇用する際に、確認すべき点などを紹介しているので、あわせてご確認ください。
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