人材不足が深刻な日本国内では、外国人材を積極的に雇い入れる企業が増えています。
外国人材を雇い入れる際に、「在留期間」が気になる企業担当者もいるのではないでしょうか。どれだけ優秀な人材でも、外国人材の場合「在留期間」に制限があるため、在留期間が切れてしまうと雇用契約も見直さなければなりません。
外国人材が、できるだけ長く在籍する企業で働き続けたいと考え、企業側も長期雇用を希望するケースでは、外国人材の「永住権」の取得を検討する企業も存在します。
本記事では、外国人材の「永住権」に関して、日本における「永住権」とはどのようなものか、「帰化」との違いはどこにあるのか、永住権の申請方法などを解説します。
日本で活躍する外国人材を対象として使用される「永住」とは、「外国籍を有したまま日本に住み続けること」をさし、「永住権」とはその権利を意味します。
このような外国人材が在留期間と職業の制限を受けずに、長く日本に住み続けるための方法のひとつに「在留資格」の「永住者」があり、この「永住者の在留資格」が日本における「永住権」と同義の資格となっています。
外国人の方が、日本国内に永住が可能となる制度に「帰化」があります。「帰化」は、外国籍の方が日本国籍を取得するための制度です。
在留資格の永住者を取得して日本国内に永住するケースと帰化して日本国籍を取得するケースの違いは、国籍変更の有無です。
永住者の在留資格を取得して日本に永住するケースでは、出身国の国籍から変更せず、外国籍のままであるのに対して、帰化の場合は出身国の国籍を手放して、日本国籍に変更が必要です。
在留資格には、永住者とは別に「特別永住者」の資格もあります。
「特別永住者」の在留資格は、1991年に設立された資格で日本に住む韓国籍や朝鮮籍などの方とその子孫に対して与えられる永住資格です。
1945年に終戦を迎え、日本の敗戦により朝鮮半島が独立を取り戻し、日韓併合以降から日本国内に住んでいた朝鮮半島出身者は韓国籍や朝鮮籍に戻されました。
その後、日本に残った朝鮮半島出身者は日本人に帰化した人も多くいましたが、それぞれの出身国の国籍を維持したまま、日本国内に住み続けることを選択した人も少なくありませんでした。
このように国家併合と戦争の影響で、日本国内に住むこととなった在日韓国・朝鮮人などに対して設立された永住資格が「特別永住者」の在留資格です。
永住者の在留資格を取得すると在留期間を気にせずに外国人材をより長く、安定して雇い入れることが可能となります。
外国人材の永住者の在留資格に関しては、「永住許可に関するガイドライン」が設定されており、永住許可申請の要件が規定されています。
具体的には以下の3つです。
また、10年在留に関する特例もあります。
それぞれ順に解説します。
永住許可に関するガイドラインでは「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」と記載されています。
永住許可に関するガイドラインでは「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」と記載されています。
ガイドライン上では、以下の4項目をクリアしていることが永住者の資格取得に必要とされています。
永住者の在留資格取得に関して、許可の要件に「原則として10年以上の日本での在留」が定められていますが、この条件には特例があり、10年以上の在留期間がない場合でも永住者の在留資格が認められるケースがあります。特例要件は以下のとおりです。
このほかにも10年在留に関する特例が認められるケースがあります。
詳しい得点や基準に関しては、永住許可に関するガイドラインをご確認ください。
在留資格の「永住者」取得のための申請は「永住許可申請」と呼ばれています。
永住許可申請は、「在留資格を有する外国人で、在留資格の変更を希望する者又は出生等により在留資格の取得を希望する外国人が、永住者の在留資格への変更又は永住者の在留資格の取得を希望する場合に行う申請」です。
永住許可申請について、以下の4つの項目に分けて詳しく解説します。
永住許可申請の対象者に関しては、入管法第22条に以下のように規定されています。
現有の在留資格から永住者へ資格変更を希望する場合、在留期間が満了する日以前の申請が必要です。
また、永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可申請が必要となります。
なお、永住許可申請が認められた場合は手数料として8,000円が必要となる点にも注意しましょう。
出生等の理由から永住者資格を取得する場合、出生その他の事由発生後30日以内の申請が必要です。この場合、手数料は不要となります。
永住許可申請は、申請人本人以外でも可能です。具体的には以下に該当する方となります。
永住許可申請には、申請人の在留資格等により必要となる書類を用意しなければなりません。また、申請に関しては住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にて行うか、外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせましょう。
申請書類の一例として、就労関係の在留資格所有者のケースで必要な書類を紹介します。
申請から許可までの審査期間は、概ね4ヶ月程度とされています。
深刻な人材不足への対策として、外国人材を雇い入れる企業が増えてきています。
外国人材の雇用において、課題となる点に「在留期間」の問題があります。今後も人材不足は継続することが予測されるため、優秀な外国人材をより長期的に安定して継続雇用することが重要です。
在留資格のひとつである「永住者」は、日本での永住を希望する外国人に認められる事実上の永住権として見なされています。永住者の資格は、在留資格を保有している外国人の方が、一定の条件を満たし、永住許可申請を行うことで認められる資格です。
外国人材の積極的な活用を検討している企業担当者の方は、永住者資格に関する理解を深めることで、日本への永住を希望する外国人材の長期雇用につながるでしょう。
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