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技能実習生の帰国後の就職状況は?実習終了後の雇用についても解説

外国人の採用などにあたり、技能実習生の帰国後の就職状況はどのようになっているのか、気になっている方もいるかもしれません。

本記事では、外国人技能実習機構の「帰国後技能実習生フォローアップ調査」を参照しながら、技能実習生の帰国後の就職状況について紹介します。記事の後半では、技能実習生を実習終了後に雇用する方法についても解説します。

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目次
技能実習生の帰国後の就職状況 国籍別の就職状況 職種別の就職状況 技能実習生の帰国後の選択肢 現地の企業に就職する 起業する 日本で再就労する 技能実習生を実習終了後に雇用する方法 「特定技能」に移行する 「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を取得する まとめ

技能実習生の帰国後の就職状況

技能実習制度は、開発途上国へ技術や知識を移転して国際協力することを目的に1993年に創設された制度です。農業、漁業、食品製造、繊維・衣服、機械・金属など、幅広い職種が技能実習制度の対象職種となっています。

技能実習生が実習を修了して帰国した後の就職状況については、外国人技能実習機構(OTIT)が毎年実施している「帰国後技能実習生フォローアップ調査」が参考になります。

同調査は、帰国した技能実習生について帰国後の就職状況、職位の変化、日本で修得した技能・技術・知識の活用状況などを把握することにより、帰国後の実態を明らかにして技能実習制度の適正・円滑な運用を図るための基礎資料にするのが目的です。

令和5年度の「帰国後技能実習生フォローアップ調査」の結果をもとに、技能実習生の帰国後の就職状況について確認していきます。

国籍別の就職状況

帰国後の国籍別の就職状況は、次のとおりです。帰国後技能実習生フォローアップ調査では、ベトナム、中国、インドネシア、フィリピン、タイの技能実習生が対象です。

帰国後の就職状況

就職状況 ベトナム 中国 インドネシア フィリピン タイ
雇用されて働いている 12.7% 17.5% 5.0% 20.8% 10.0%
雇用されて働くことが決まっている 4.3% 9.3% 8.3% 2.2% 9.3%
起業している 11.5% 3.3% 22.9% 16.5% 8.6%
上記3つの合計※ 28.5% 30.0% 36.1% 39.4% 27.9%
進学している 1.5% 0.0% 1.5% 0.4% 3.0%
仕事を探している 19.4% 32.0% 14.7% 12.1% 17.1%
技能実習3号で戻る 11.8% 2.8% 8.6% 10.0% 15.2%
特定技能で日本に戻る 26.2% 5.1% 29.2% 22.9% 11.5%
何もしていない 5.0% 19.2% 1.8% 2.6% 9.3%
その他 4.6% 5.4% 3.6% 6.1% 10.8%
無回答 3.0% 5.4% 4.5% 6.5% 5.2%

帰国後の仕事内容

仕事内容 ベトナム 中国 インドネシア フィリピン タイ
実習と同じ仕事 46.9% 63.4% 32.5% 64.8% 49.3%
実習と同種の仕事 21.0% 20.6% 9.6% 7.7% 16.0%
上記2つの合計※ 67.9% 84.0% 42.1% 72.5% 65.3%
実習と異なる仕事 30.5% 14.4% 47.9% 24.2% 29.3%
無回答 1.5% 1.5% 10.0% 3.3% 5.3%

※四捨五入の関係で値が完全に一致しない場合がある。
出典:外国人技能実習機構「令和5年度 帰国後技能実習生フォローアップ調査」

なお、「仕事内容」の表は、「雇用されて働いている」「雇用されて働くことが決まっている」「起業している」と回答した人にさらに調査をした結果となります。

結果を見ると、「雇用されて働いている」「雇用されて働くことが決まっている」「起業している」と回答した人の合計割合は25~40%程度となっています。上記の表中にはありませんが、上記3つの回答をした人は全体の31.1%です。

また、上記3つの回答をした人に加えて「仕事を探している」と回答した人を含めても、その割合は各国で~60%程度に留まります。

就職や起業の予定がなく、求職中でもない人の割合も少なくないという点では、技術や知識の移転という目的に対して多少の課題があることが伺えます。

なお、「特定技能で日本に戻る」と回答した人は、ベトナムで26.2%、インドネシアで29.2%、フィリピンで22.9%です。特定技能で日本に戻る人も、国によっては多いといえます。

職種別の就職状況

帰国後の就職状況(職種別)の結果は、次のとおりです。

帰国後の就職状況

  農業 漁業 建設 食品製造 繊維・衣服 機械・金属 その他
雇用されて働いている 11.0% 0.0% 8.7% 7.3% 20.4% 16.3% 14.0%
雇用されて働くことが決まっている 5.5% 3.0% 7.3% 4.5% 9.2% 9.8% 4.7%
起業している 13.4% 9.1% 17.8% 8.4% 8.5% 10.7% 12.9%
上記3つの合計※ 29.9% 12.1% 33.9% 20.2% 38.0% 36.8% 31.5%
進学している 0.0% 3.0% 0.4% 1.8% 1.4% 1.3% 1.5%
仕事を探している 18.9% 27.3% 16.0% 22.2% 14.8% 23.2% 19.9%
技能実習3号で戻る 5.1% 3.0% 12.2% 10.2% 20.4% 5.1% 10.6%
特定技能で日本に戻る 19.3% 36.4% 22.0% 24.0% 11.3% 15.7% 24.2%
何もしていない 17.3% 9.1% 5.3% 9.0% 8.5% 8.3% 4.3%
その他 4.7% 9.1% 4.7% 7.1% 1.4% 5.1% 5.1%
無回答 4.7% 0.0% 5.3% 5.5% 4.2% 4.5% 2.8%

仕事の内容

  農業 漁業 建設 食品製造 繊維・衣服 機械・金属 その他
実習と同じ仕事 39.5% 25.0% 31.6% 37.9% 79.6% 56.5% 49.9%
実習と同種の仕事 28.9% 25.0% 18.4% 22.3% 3.7% 12.7% 16.3%
上記2つの合計※ 68.4% 50.0% 50.0% 60.2% 83.3% 69.2% 66.2%
実習と異なる仕事 31.6% 25.0% 44.7% 35.9% 13.0% 25.4% 30.6%
無回答 0.0% 25.0% 5.3% 3.9% 3.7% 5.4% 3.2%

※四捨五入の関係で値が完全に一致しない場合がある。
出典:外国人技能実習機構「令和5年度 帰国後技能実習生フォローアップ調査」

特に繊維・衣服では、帰国後も「実習と同じ仕事」「実習と同種の仕事」に就く人が83.3%と高い割合となっています。機械・金属の69.2%、農業の68.4%なども比較的高い割合です。

こうした職種では、帰国後に就業した場合には、技能実習での知識・技術が活かされるケースは多いと想定されます。

技能実習生の帰国後の選択肢

帰国後の技能実習生にはどのような選択肢があるのかまとめました。現地での就職や起業、日本での再就労の例を紹介します。

現地の企業に就職する

技能実習で学んだ特定の技術を活かし、同業種の企業に就職するのがまずひとつ選択肢です。日本で習得した知識や技術を取り入れ、現地企業で即戦力として活躍することが期待されます。

たとえば、日本でプラスチック成形の技能実習をしたタイ人実習生は、現地の日系企業に就職し、技能を生かした仕事に従事しています。企業から即戦力として重宝され、作業現場を任せられるリーダー的存在となっています。

起業する

農業や製造業などで学んだ技能や知識をもとに、自身のビジネスを立ち上げる技能実習生もいます。実習で得た知識や技術を活かし、現地にないサービスや製品を提供できれば、既存の事業と差別化されたビジネスを展開できる可能性があります。

たとえば、技能実習で習得した溶接技能を生かして中国帰国後に会社を設立した人は、日本企業に出荷する製品や中国メーカーの受注をしています。中国では大型製品の溶接技術を有している会社が少ないところ、その技術を持っている元実習生の会社では、それが強みになっています。

日本で再就労する

特定技能などの在留資格を取得し、再び日本で働く選択肢もあります。技能実習で学んだことをさらに発展させて知識・技術を習得することで、より専門性の高いキャリアを築きやすくなります。

「技術を高めるため、技能実習3号の在留資格で再び技能実習がしたい」というミャンマー人の元実習生は、監理団体に相談して、実習実施者の協力のもと、在留資格取得のために必要な技能実習評価試験の合格を目指し、来日することが可能になったという例もあります。

技能実習生を実習終了後に雇用する方法

技能実習終了後は、「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を取得することで、その外国人をあらためて雇用することが可能です。

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

「特定技能」に移行する

技能実習生から特定技能に移行した上で雇用する方法です。

特定技能制度は、特定の産業分野で一定の専門性・技能のある即戦力の外国人を受け入れていく仕組みです。

技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、技能実習での職種と特定技能1号の分野(業務区分)との関連性が認められれば、特定技能取得の要件である技能試験と日本語試験が免除されます。つまり、技能実習生から特定技能への移行が可能となります。

特定技能外国人が日本に在留している場合、以下の流れで雇用から就労開始まで進めることができます。

  1. 技能実習2号を良好に修了
  2. 企業が特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定する
  4. 地方出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請をする
  5. 「特定技能1号」へ在留資格を変更する
  6. 外国人が就労を開始する

「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を取得する

実習終了後にその外国人がたとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得することで、企業側はその外国人を雇用することができます。

「技術・人文知識・国際業務」はエンジニアなどを含め幅広い職種をカバーする在留資格です。技術・人文知識・国際業務を取得するための要件の概要は、以下のとおりです。

  • 一定の学歴または一定年数以上の実務経験があること
  • 業務に必要な技術または知識を修得していること

学歴要件は、大学・専修学校で業務に必要な技術や知識に関わる科目を専攻していることが条件です。実務経験の場合は10年以上必要で、この期間には大学などで関連科目を専攻した期間も含まれます。

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技能実習は発展途上地域に技術移転を図る国際貢献を目的に創設された制度です。技能実習生と呼ばれる外国人は、日本での就労を通じて専門的な知識やスキルを習得し帰国後に自国の発展のために活用します。単純な人手不足解消の手段として利用される状態を解消するため新制度「育成就労」への移行が予定されています。

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まとめ

令和5年度の「帰国後技能実習生フォローアップ調査」の結果を見ると、帰国後の就職状況は、「雇用されて働いている」「雇用されて働くことが決まっている」「起業している」と回答した人が31.1%います。

就職や起業の予定がなく、求職中ではない人の割合も少なく、その点では技術や知識の移転という目的に向けては課題があることが伺えます。

なお、実習終了後の技能実習生は、実習終了後も「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」といった在留資格が取得されれば、あらためて雇用することが可能です。ぜひ技能実習生の就職状況や雇用方法を押さえて、採用に役立てていきましょう。

なお、Adeccoの「特定技能外国人材紹介」では、特定技能に特化した外国人材の紹介を行っております。厳格な基準をクリアした、定着率が高く意欲的な外国人をご紹介しております。在留外国人の雇用や定着でお悩みの方は、ぜひAdeccoにご相談ください。

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