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外国人労働者の賃金の注意点は?実態や支給のポイントをわかりやすく解説

少子高齢化の加速や、時間外労働が制限される2024年問題などを背景に、さまざまな業界で労働力の不足が深刻化しています。

新型コロナウィルス感染症も5類に移行され経済活動が回復しつつあるなか、求人市場も活況を取り戻しています。人材の確保にお悩みの事業者様のなかには、「そろそろ自社でも外国人労働者の受け入れを検討してみたい」とお考えの方も多いはずです。

日本の労働人口の一端を担う外国人労働者の数は、年々増加しています。外国人労働者を雇用する場合、受け入れ側はどのようなポイントに注意して賃金を支給すれば良いのでしょうか。

本記事では、日本国内で働く外国人労働者の賃金の実態や、賃金を支給する際に把握しておきたい注意点を解説します。

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目次
外国人労働者の賃金の実態 外国人労働者の賃金格差が生じる原因 技能実習生問題 単純労働に外国人労働者を従事させる 専門的・技術的分野の外国人労働者は賃金が高い傾向にある 外国人労働者が日本で賃金を得る理由 自国で就労するより賃金が高い 日本で得た知識や技術を自国で活用する 外国人労働者に賃金を支給する際の注意点 日本人と同等の評価制度で公平に判断する 賃金にかかる所得税の取り扱いに注意する 年収が在留資格取得や永住許可申請に影響する場合がある 在留資格により支給方法が限定される キャリアアップのフローを明確化する まとめ

外国人労働者の賃金の実態

厚生労働省が公表する「賃金構造基本統計調査」によると、在留資格別の月額賃金平均は以下のとおりです。

【外国人労働者の在留資格区分別賃金及び対前年増減率(令和4年)】

在留資格区分 賃金
(千円)
対前年
増減率
(%)
年齢
(歳)
勤続年数
(年)
外国人労働者計 248.4 8.9 34.1 3.6
専門的・技術的分野(特定技能を除く) 299.6 -8.2 31.9 3.3
特定技能 205.7 5.5 29 2.4
身分に基づくもの 280.7 3.7 43.8 5.6
技能実習 177.8 8.3 27.9 2.4
その他(特定活動及び留学以外の資格外活動) 220.9 16.5 31 2.8

賃金が最も高い在留資格は特定技能を除く専門的・技術的分野で、月額平均299,600円です。

技能実習は、技能実習生と呼ばれる外国人が母国の発展のために日本での就労を通じて技術やスキルを習得する制度ですが、技能実習生の賃金は177,800円で最も低い水準です。

また、短時間労働者の時給平均は以下のとおりです。なお、特定技能の在留資格は原則フルタイム雇用が前提のため、短時間労働者に該当しません。

【短時間労働者の在留資格区分別賃金(令和元年)】

在留資格区分 1時間
当たり賃金
(円)
年齢
(歳)
勤続年数
(年)
実労働
日数
(日)
1日当たり所定内
実労働時間数
(時間)
外国人労働者計 1,066 29.1 1.7 13.8 6.3
専門的・技術的分野
(特定技能を除く)
1,882 31.9 2.5 17.6 5.5
特定技能 - - - - -
身分に基づくもの 1,121 44.3 3.5 15.2 6.0
技能実習 977 25.5 1.3 19.4 7.3
留学(資格外活動) 1,024 24.3 1.2 12.8 6.3
その他(特定活動及び留学以外の資格外活動) 1,033 29.5 1.0 15.2 6.4

月額賃金同様、時給でみても専門的・技術的分野が最も高く、技能実習が最も低い実態がわかります。

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査(在留資格区分別)」
出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(外国人労働者)」

外国人労働者の賃金格差が生じる原因

外国人労働者間で賃金格差が生じる背景として、以下の原因が考えられます。

  • 技能実習生問題
  • 単純労働に外国人労働者を従事させる
  • 専門的・技術的分野の外国人労働者は賃金が高い傾向にある

それぞれの原因を詳しく解説します。

技能実習生問題

第一の原因として技能実習生問題が挙げられます。

技能実習は、在留資格の1種です。技能実習制度を利用して日本で就労する外国人を技能実習生といいます。

技能実習制度は、外国人が日本での就労を通じて得た知識や技術を、自国に持ち帰り活用するために創設された制度です。本来の目的は、開発途上地域に技術移転を図る国際貢献です。

しかし、技能実習生は原則として本人都合による転職が制限されます。賃金に不満があってもほかの事業所への移動は許可されていません。

また、悪質な仲介業者に高額な手数料を支払うため借金を背負って来日するケースも存在します。

こうした背景から弱くなりやすい技能実習生の立場を利用して、低い賃金で雇用する事業者が存在するのが実情です。

現行制度で確認されている諸問題を解消するため、政府は技能実習に代わる新制度として「育成就労」の創設を予定しています。

育成就労制度では、技能実習生本人の意思による転職制限が条件により緩和されるほか、在留資格「特定技能」への移行がしやすくなる見込みです。

単純労働に外国人労働者を従事させる

日本語能力が低い外国人労働者を、教育に時間がかかるなどの理由で単純労働にしか従事させない事例が存在します。言語の壁によるコミュニケーション不全は、現場トラブルの原因になるケースも多い問題です。

また、外国人である旨だけを理由に単純労働にしか従事させない人権侵害の例も考えられます。

非熟練のまま就労を続けると、スキルアップも見込めず低賃金の状態が継続する結果となってしまいます。外国人労働者を受け入れる事業者には、スキルの習得や教育の機会を積極的に与える対応が求められます。

コミュニケーション問題の改善は、職場全体のモチベーション向上にもつながり、トラブルを防止する効果も期待できます。

専門的・技術的分野の外国人労働者は賃金が高い傾向にある

技能実習生や非熟練で単純作業に従事する外国人と比較し、医療・教育・研究など専門的・技術的分野の在留資格で就労する外国人は高水準の賃金を得ています。在留資格の違いが、賃金格差にもつながっています。

前述の賃金月額平均でみると、最も低い技能実習と比較し121,800円の開きがあります。

専門的・技術的分野の在留資格は、学歴や一定以上の実務経験が必要な場合が多く、誰でも取得できるわけではないのが実情です。

外国人労働者が日本で賃金を得る理由

外国人労働者は、どのような理由で日本に来て就労するのでしょうか。

考えられる主な理由として、以下の2点が挙げられます。

  • 自国で就労するより賃金が高い
  • 日本で得た知識や技術を自国で活用する

それぞれの理由を詳しく解説します。

自国で就労するより賃金が高い

自分の国と比較して賃金の水準が高い場合、日本での就労は大きなメリットです。

厚生労働省が公表するデータによると、外国人労働者のうち最も多いのはベトナムです。次いで、中国が397,918人(19.4%)、フィリピンが226,846人(11.1%)と続き、近年、インドネシアも増えています。

【国籍別外国人労働者の割合(令和5年10月末時点)

国籍別外国人労働者数

日本貿易振興機構(JETRO)のデータによればベトナムの平均月収は約4万円で、日本の平均月収を大きく下回ります。ベトナム以外でもフィリピンやネパールなど、賃金水準が日本より大幅に低い国が上位に挙がっています。

外国人労働者は社会保障が安定している日本でお金を稼ぎ、自身の生活費や、自国への仕送りなどにあてます。

ただし、円安が進み諸外国と比較して日本で働くメリットは小さくなりつつあるのが現状です。日本が、この先も外国人労働者から就労先に選んでもらえるかはわかりません。

日本の事業者には、安心して働ける労働環境の整備や、生活面を含む積極的な支援体制など、外国人労働者にとって魅力のある職場づくりが求められます。

出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)」
出典:日本貿易振興機構(JETRO)「ビジネス短信」

日本で得た知識や技術を自国で活用する

外国人労働者が自国でお金を稼ぐための準備として、日本で就労するケースも存在します。

特に技能実習制度は、開発途上国へ技術や知識を移転するための制度です。技能実習生は日本での就労を通じて獲得したスキルを国へ持ち帰ります。

自国で活用するスキルの習得を目的とした就労はいずれ帰国する前提があるため、ほかの在留資格に切り替えない限り定着は見込みづらい点が特徴です。

外国人労働者に賃金を支給する際の注意点

外国人労働者の賃金に関する注意点として、以下の5点が挙げられます。

  • 日本人と同等の評価制度で公平に判断する
  • 賃金にかかる所得税の取り扱いに注意する
  • 年収が在留資格取得や永住許可申請に影響する場合がある
  • 在留資格により支給方法が限定される
  • キャリアアップのフローを明確化する

それぞれの注意点を解説します。

日本人と同等の評価制度で公平に判断する

最低賃金法は外国人労働者も対象です。

最低賃金は都道府県により異なる金額が定められています。最低賃金以下で雇用してはならず、違反した場合は法律で罰せられます。たとえ技能の習得を目的とする技能実習生であっても、最低賃金以上の賃金の支給が必要です。

雇用形態による賃金格差を是正する同一労働同一賃金の考え方も、外国人労働者を含む全ての従業員が対象です。外国人である旨を理由にした不当な扱いは人権侵害に該当します。

同一労働同一賃金ガイドラインでは、能力や成果に応じた賃金差は認められているものの、実態に違いがなければ同一の支給額にしなければならないとされています。

特に在留資格「特定技能」の場合、最低賃金を上回っていても、給与水準が日本人と比べて低い場合、資格取得の要件を満たさないとみなされ、特定技能の在留資格を取得できない可能性があるため注意しましょう。

賃金にかかる所得税の取り扱いに注意する

外国人労働者の賃金には、日本人と同様に所得税が課税されます。所得税の取り扱いは、居住者・非居住者の区分により異なります。

居住者とは、国内に住所がある、または現在まで引き続いて1年以上居所がある外国人です。居住者と推定される外国人を含み、契約などにより滞在期間が1年未満の場合を除きます。

非居住者とは、居住者以外の外国人です。

居住者の場合は、日本人同様「給与所得の源泉徴収税額表」を基に賃金から源泉徴収し、年末調整も行います。

非居住者の場合は、賃金の支払いの都度、原則20.42%の税率で源泉徴収します。非居住者の課税方式は源泉分離課税のため、源泉徴収のみで処理が完了し、年末調整は行いません。

年収が在留資格取得や永住許可申請に影響する場合がある

在留資格によっては、取得の条件として年収が関係する場合があるため注意が必要です。

また、永住許可を申請する場合、具体的な数字は公表されていないものの、一般的に必要な年収の目安は300万円程度です。しかし、税法上の扶養家族がいる場合、一人あたり70万円以上が追加で必要であることが多いです。

在留資格や永住許可のための審査項目はほかにもあり、年収だけで許可が決まるわけではありませんが、年収が審査に影響する場合がある点は把握しておきましょう。

在留資格により支給方法が限定される

在留資格により賃金の支払い方法が限定されている場合があるため、注意してください。

たとえば「特定技能」では、賃金は預貯金口座への振込により支払わなければならないとされています。別の方法で支払いたい場合は出入国在留管理庁での手続きが必要です。

そのほか、分野ごとの規定がある可能性があるため、賃金支払の際は事前に確認しましょう。

キャリアアップのフローを明確化する

昇給や賞与支給条件を明確に提示すれば、モチベーション向上の効果が期待できます。

特に、実習を目的とした技能実習生はスキルの低さから賃金が低く設定される場合も多く、最低賃金での雇用も違法ではありませんが、人材が定着しない、生産性が低下するなどのリスクも考えられます。

キャリアアップのフローの明確化は、生産性を高め、長く就労してもらう方法として有効な手段のひとつとなり得ます。

まとめ

外国人労働者の平均賃金を在留資格別にみた場合、専門的・技術的分野が最も高く、最も低いのは技能実習です。実態として、在留資格による賃金格差は存在します。

外国人労働者の賃金は、最低賃金基準法を守り、日本人と同等の評価制度により決定しなければならず、外国人である旨を理由に不当に低い賃金を支給する行為は認められません。

特定技能の場合、最低賃金以上であっても在留資格を取得できない場合が存在するため注意が必要です。

居住者と非居住者では所得税の源泉徴収の取り扱いが異なる点を把握しておきましょう。

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