在留カードは、日本に3ヶ月を超えて滞在する外国人に交付されるカードです。運転免許証のように身分証明書として使えるため、外国人を雇用する際は、在留カードに記載されている在留資格や在留期限等を確認しておく必要があります。
在留期限を過ぎると、外国人本人は不法滞在となり罰則がある点に注意してください。また、本人に対する罰則だけではなく、不法滞在している外国人を雇用している会社も「不法就労助長罪」として責任が問われるため、在留カードの有効期限が切れる前に在留カードの更新を確認することが大事です。
本記事では、在留カードの有効期限や更新手続き、更新期限を超過した場合の罰則などについて解説します。
在留カードとは、新規の上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可など在留資格を許可する証明書です。日本に中長期間在留する外国人(中長期在留者)に対して交付されます。
在留カードには、外国人の顔写真のほか、氏名、国籍・地域、生年月日、性別、在留資格、在留期限、就労の可否などの重要な情報が記載されています。
在留カードを取得したら効果が永続するのではなく、一定期間を過ぎたら新しいカードへの更新が必要です。在留カードに記載された有効期限が過ぎる前に、更新手続きをしなければなりません。
在留カード更新の手続対象者、申請期間、申請者等については、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第19条の11に定められています。
参照元:在留カードの有効期間の更新申請 | 出入国在留管理庁
在留カードには、以下の有効期限があります。
(注1)2023年11月1日以後に交付された在留カードの有効期限は、16歳の誕生日の前日までが有効期限となる
(注2)2023年11月1日以後に交付された在留カードの有効期限は、在留期間の満了日又は16歳の誕生日の前日のいずれか早い方が有効期限となる
「在留期限」と「在留カードの有効期限」は別の意味を持ちます。
在留期限とは日本に在留できる期限で、在留カードの期限とは身分証明書としての在留カードの有効期限です。
永住者、16歳になる場合の有効期限を除き、在留期限と在留カードの有効期限は同じです。
在留カードの更新手続きの期間は、以下の3つの場合で異なります。
永住者(16歳以上)又は高度専門職2号 | 在留カードの有効期間の満了日の2ヶ月前から有効期間満了日まで |
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在留カードの有効期間の満了日が16歳の誕生日とされている場合 | 16歳の誕生日の6ヶ月前から同誕生日まで ※2023年11月1日以降に交付された在留カードの有効期限は、16歳の誕生日の前日までとなる そのため、申請期間は16歳の誕生日の前日の6ヶ月前から同誕生日の前日までとなる |
長期間日本国外で生活することになり、申請期間内に再入国が難しい場合 | 入院または出張や留学などで長期間日本国外にて生活することになり、申請期間内に再入国が難しい場合、申請期間前でも申請できる(3ヶ月以上前から申請を受け付けることもある) |
在留カードの更新は、入管法第21条により、外国人が日本で行う活動内容に変更がない場合に認められます。在留資格「留学生」が就職した場合や、「日本人の配偶者等」が離婚した場合などは、「在留カードの更新」ではなく「在留資格の変更」の手続きを行う必要があります。
在留資格「特定技能」または一部の「特定活動」の場合は、同じ在留資格内の活動であっても、新しい会社に転職した場合は「在留資格の変更」の手続きが必要な点に注意してください。
在留カードの更新手続きを忘れていた場合は、一刻も早く手続きをする必要があります。
在留カードの更新手続きをしなかった場合、永住者・高度専門職2号以外は不法滞在者になるからです。就労だけでなく、日本滞在も許されません。外国人本人に対しては、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が課されます。また、強制送還される場合も多くあります。
外国人の雇い主も「不法就労助長罪」に問われる場合があることを知っておきましょう。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金に問われます。
永住者・高度専門職2号には在留期限がないため、在留カードの有効期限が切れても、不法滞在にはなりません。しかし、有効期限切れの在留カードは身分証明書としての役割を果たせなくなる点に注意してください。
在留カードは有効期限内のものを常に携帯することが法律で定められています。この規定に反してしまうと、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがあります。なお、在留カードの不所持者の就労は原則として認められていません。
雇用者へ罰則が科せられる場合もあるため、永住者にも有効期限内に忘れずに在留カードの更新を行うように促しましょう。
疾病により自ら在留カードの在留期間更新許可申請等ができない場合は、その親族又は同居者若しくはこれに準ずる者で地方出入国在留管理局長が適当と認めるものが代わって手続をする必要があります。手続をするべき親族が申請等をしなかった時は5万円以下の過料に処せられることがある点に注意してください。
在留期間の更新手続きの最中に有効期限切れになる場合もありますが、心配は不要です。
在留期間内に更新申請をした場合、2ヶ月の特例期間が設けられているからです。
在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載される(オンライン申請の場合を除く)ため、在留期限の最終日までに更新手続きをすれば、不法滞在にはなりません。
在留カードの更新は、外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理局で行います。たとえば、東京都の場合は「東京出入国在留管理局」(東京都港区港南5-5-30)に出向きます。
受付時間など詳細については、地方出入国在留管理官署又は外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)に問い合わせてください。
入管法第21条により、外国人の日本での活動内容に変更がない場合、更新手続きを行うことが可能です。以下で、永住者・高度専門職2号以外の在留期間更新についての一般的な手続きの流れを解説します。
まず、在留期間更新許可申請書と必要書類を管轄の出入国在留管理局に提出します。申請人は原則本人のみ(16歳未満、成年後見人の法定代理人や行政書士等の取次者を除く)です。
出入国在留管理庁から「申請受付票」を受け取ります。また、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載されます。
許可が下りると管轄の地方出入国在留管理局よりハガキが郵送されます。ハガキの受け取り後、入管へハガキ・在留カード・パスポート・所定の金額の印紙を添付した「手数料納付書」を持参し、新しい在留期間が記載された「在留カード」を受け取ります。
在留期間の更新許可申請の手続きの際には、日本での活動内容(在留資格)に応じた申請書・資料を用意する必要があります。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の場合、在留期間更新許可申請書、顔写真、パスポート及び在留カード、法定調書合計表の写し、住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年分)が必要です。
在留期限の更新許可が下りた後、在留カードの受け取りにかかる費用は4,000円(収入印紙で納付)です。永住者・高度専門職2号の在留カード更新は無料です。
在留期間の更新許可申請はオンラインでもできます。24時間365日申請可能でシステム利用料は無料のため、いつでも申請できるのがメリットです。
ただし、在留資格が「外交」「公用」「短期滞在」の場合や在留期間が3ヶ月以下、15歳未満の場合のオンライン利用は不可です。
また、在留期限当日はオンライン申請はできませんので、管轄の地方出入国在留管理局の窓口で申請する必要があります。
在留カードの更新が許可されるのは、入管法第19条の11の要件に該当していることが条件です。法務大臣が、外国人の在留状況,在留の必要性,相当性等を総合的に判断し、更新を適当と認めるに足る相当の理由がある場合に許可します。
以下は、更新を認めるに足る相当の理由がないと判断された事例です。
在留カードを紛失したら、できる限り早く再発行する必要があります。在留カードは外国人にとって身分証明書で、常に携帯する必要があるものだからです。
必要書類として、遺失届出証明書、盗難届出証明書、り災証明書等(提出できない場合はその理由及び紛失した状況を記載した理由書)が必要な点に注意してください。再交付申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局です。
通常は、その日のうちに新しい在留カードを受け取ることができ、手数料も不要です。
紛失に気付いてから14日以内の申請が義務付けられているため、早めに申請を促しましょう。
在留カードの有効期限が切れると、「オーバーステイ(不法滞在)」となります。外国人本人だけでなく、雇用側も「不法就労助長罪」の罪に問われる可能性があります。
そのような事態を招かないために、外国人採用の際には在留カードの在留資格や有効期限を確認し、外国人が期限までに更新手続きを行うように促してください。
とはいえ、在留資格や在留カードの有効期限に関する法律は複雑なことから、わからないことだらけで不安な方も多いのではないでしょうか?
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