外国人労働者も、労働基準法による労働時間の制限があります。外国人労働者を採用する際には、法律上の労働時間に関する規定について確認をしておきたいところです。
また、留学生をアルバイトとして雇う場合には、留学生本人が資格外活動許可を受けている必要があり、入管法による労働時間の制限もあります。
本記事では、外国人労働者の労働時間に関する規定について解説します。
外国人労働者も、日本人労働者と同様に労働基準法による労働時間の制限や36協定による残業時間の制限があります。以下でそれぞれの制限について詳しく見ていきましょう。
労働基準法には、労働時間について以下の3つのルールが記載されています。
外国人労働者を雇用する際も日本人労働者と同様に、労働時間や休憩時間は上記のルールに従う必要があります。
労働時間は1日8時間、1週間で合計40時間が上限です。
たとえば、8時始業の場合、途中1時間の休憩を挟んで9時間後の17時までが法定労働時間となります。8時間を超える労働は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要です。
1日の労働時間が6時間を超える時は45分以上の休憩が必要です。また、1日の労働時間が8時間を超えて残業になる時は、追加で15分以上の休憩が必要となります。
なお休憩時間には、以下の3つの原則があります。
途中付与の原則 | 休憩時間は労働時間の途中に与えなければならない |
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一斉付与の原則 | 休憩時間は原則として一斉に与えなければならない |
自由利用の原則 | 休憩時間は自由にさせなければならない |
休憩時間は、労働の疲労を取るためのものなので、労働時間の途中に与える必要があります。勤務時間のはじめや終わりに休憩時間を与えることは認められていません。
一斉付与の原則は、工場内や支店内など事業所内で一斉に休憩時間を与えなければならないとするもので、多くの企業で採用されているお昼休みもこの原則に基づいています。
ただし、労使協定を締結すると一斉付与の原則は適用除外となり、個別に休憩を与えることもできます。また、以下の業種は休憩時間を一斉付与するのが難しいため、労使協定の締結なしで個別に休憩を与えることができます。
労働基準法では、「毎週少なくとも1日」または「4週間で4日以上」の休日を労働者に与えることが義務付けられています。特定の曜日に休日を与える必要はなく、土曜日や日曜日以外を休日として設定することもできます。
年間での休日日数には法律上規定がありませんが、1日8時間、週5日(週40時間)働く場合、年間での労働日数は最大260日のため、年間で105日以上の休日が必要です。
なお、1日の労働時間が8時間より少ない場合は、労働できる日数が多くなり、最低限必要な休日日数が105日より少なくなることもあります。
外国人労働者も、時間外労働・休日労働に関する協定である「36協定」による労働時間の上限があります。
36協定では、残業について業務内容、対象となる労働者の範囲、対象期間、労働時間などが定められます。36協定を締結すると、月45時間、年360時間を上限に、残業を課すことが認められます。
留学生や家族滞在の外国人は、原則として労働が認められていませんが、資格外活動許可を受けると、週28時間まで就労(アルバイト)が可能です。資格外活動許可で外国人が働く時の注意点を以下で見ていきましょう。
資格外活動許可を受けた留学生も、夏季休暇や冬季休暇などの長期休暇期間中であれば、労働基準法の上限となる1日8時間、週40時間まで労働ができます。
ただし、長期休暇として認められるのは学則による長期休業期間に限られ、休講による休暇では週28時間を超える労働は認められていません。
資格外活動許可を受けた外国人が複数のアルバイトをする場合、全てのアルバイト先での労働時間を合算して週28時間が上限となります。個別のアルバイト先でそれぞれ28時間まで労働できるわけではないので注意が必要です。
雇用側としては、アルバイトの外国人がダブルワーク(掛け持ち)をしているのか、ほかのアルバイト先でどれくらいの時間働いているかは把握しておく必要があります。
資格外活動許可を受けた留学生も、風営法が関わる業種で働くことはできません。資格外活動許可があれば、業種に関わらずアルバイトができるわけではありません。
資格外活動許可を受けても働けない業種としては、キャバレー、ホストクラブ、スナック、ナイトクラブ、パチンコ店、ゲームセンター、麻雀店などが挙げられます。
なお、留学生も卒業後に特定技能への在留資格変更許可が下りれば、アミューズメント系のラブホテルであれば、風営法に抵触しない宿泊業として働けます。
どの曜日から起算しても、労働時間は週28時間以内である必要があります。
たとえば、月曜日から日曜日までの労働時間が28時間以内であっても、1日後ろにずらした火曜日から翌週の月曜日までの労働時間が28時間を超える場合は不法就労となります。
外国人労働者を労働基準法で定められた上限を超えて労働させた場合、日本人労働者の場合と同様に労働基準法違反に問われることになります。罰則としては、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
一方、資格外活動許可を受けて働く外国人のアルバイトを、週28時間の上限を超えて労働させた場合、不法就労助長罪に問われることになります。罰則としては、雇用主には3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、外国人労働者本人も入管法違反により懲役や罰金等が科される可能性のほか、在留資格の取り消しや退去強制処分の措置が行われる可能性があります。
外国人労働者を雇用する時に、労働時間以外に確認しておきたい注意点も見ていきましょう。
外国人を雇用する際には、外国人本人が保有している在留カードの表面と裏面をチェックして、適切な在留資格や資格外活動許可があるかを確認しましょう。
在留カードで特に確認すべきポイントは、以下の4点です。
「就労制限の有無」の欄には、「就労制限なし」「就労不可」の記載や、一部就労制限がある場合の制限内容について記載があります。「就労不可」の場合も、裏面の「資格外活動許可欄」に次のいずれかの記載があれば、資格外活動許可の範囲内で就労が可能です。
カードが失効していないかは、在留カード等番号失効情報照会(出入国在留管理庁)から確認できます。照会の際に入力する在留カードの番号は、カード表面の右上に記載されています。
そのほか、「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方のページで在留カードの偽変造防止対策が確認できます。在留カードが偽造の可能性がないか、確認しておきましょう。
雇用期間、労働時間、業務内容、給与の仕組みなどの労働条件は、雇用する外国人労働者に事前にしっかりと説明しておきましょう。
本国と日本とで雇用の仕組みが異なることを考慮し、認識にずれが生じないように事前の擦り合わせが大切です。給与や労働の条件を具体的に示しながら、本人が理解できるように説明を行いましょう。
外国人労働者も、日本人と同様に労働基準法による労働時間の制限や36協定による残業時間の制限があります。また、「留学」「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人は、資格外活動許可を受けると週28時間までアルバイトが可能です。
外国人労働者を雇用する際には、在留カードを確認すること、労働条件を事前にしっかり説明することが注意しておきたいポイントです。
ぜひ労働時間の規定を知って、適切に労働時間を管理していきましょう。
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